ダイハツ・K3型エンジン

ダイハツK3型エンジン：小型軽量化と設計柔軟性を両立した1.3Lガソリンエンジン

ダイハツ工業、およびアストラ・ダイハツ・モーターが製造していたK3型エンジンは、水冷直列4気筒ガソリンエンジンのシリーズです。鋳鉄ブロックを採用し、2000年5月にストーリアおよびトヨタ・デュエットへの搭載を皮切りに、幅広い車種に搭載されました。

エンジンの概要と特徴

K3型エンジンは、排気量1.3LのDOHC16バルブエンジンです。トヨタ向けに開発されたSZ型エンジンをベースとしていますが、シリンダーヘッドとシリンダーブロックは独自の設計となっています。そのため、SZ型エンジンと共通のクランクシャフトを用いながらも、異なる特性を実現しています。

特筆すべきは、その設計の柔軟性です。フロントへの横置きだけでなく、縦置きやキャブオーバー型車への搭載も考慮されており、多様な車種への適合性を高めています。これは、ダイハツ車の幅広いラインナップに対応するためです。

小型軽量化もK3型エンジンの大きな特徴です。鋳鉄製シリンダーブロックは、ボアピッチ78mm、クローズドデッキ構造で、コールドボックス法と呼ばれる鋳造技術を用いることで、熱歪みを抑制。これにより、ボア付近の肉厚を3mmまで薄くすることに成功し、小型軽量化を実現しています。

エンジンのバリエーション

K3型エンジンには、いくつかのバリエーションが存在します。主なものとして、以下の種類があります。

K3-DE: DOHC16バルブ、EFI、自然吸気。主にインドネシアで生産され、セニアやグランマックスといった車種に搭載されました。
K3-VE: DVVT（可変バルブタイミング機構）を搭載したDOHC16バルブ、EFI、自然吸気。ストーリア、デュエット、テリオスなど、多くの車種に搭載されました。出力は、搭載車種によって若干異なります。
K3-VE2: K3-VEをベースに圧縮比を高めたモデル。ストーリアやデュエットの一部に搭載されました。
K3-VET: DVVTとインタークーラーターボを搭載したDOHC16バルブ、EFI。テリオス、キャミ、YRVなどに搭載され、高出力、高トルクを実現しています。

派生エンジン

K3型エンジンをベースに、排気量を変更した派生エンジンも存在します。

3SZ-VE (KSZ-VE): K3-VEをベースに排気量を1.5Lに拡大したエンジンです。主に海外市場向けに供給されました。
KJ-VET: K3-VETをベースに排気量を1.0Lに縮小したエンジンです。

エンジンの系譜と製造終了

K3型エンジンは、ダイハツのエンジンの系譜において重要な位置を占めています。HC型エンジンを継承し、その後は1NR型エンジン、そして直列3気筒のWA型エンジンへと進化していきました。

2021年11月、アストラ・ダイハツ・モーターのセニアのフルモデルチェンジに伴い、K3型エンジンは製造を終了しました。長年にわたって多くの車種に搭載され、ダイハツ車の発展に大きく貢献したエンジンと言えるでしょう。

主要搭載車種

K3型エンジンは、ダイハツ車だけでなく、トヨタ車、スバル車などにも搭載されました。代表的な車種を以下に示します。

ダイハツ: ストーリア、テリオス、YRV、アトレー7、ブーン（初代）、クー、コペン（輸出仕様）、セニア（インドネシア専売）
トヨタ: デュエット、キャミ、bB（2代目）、パッソ（初代）、アバンザ（インドネシア専売）
スバル: デックス

技術仕様 (例：K3-VE)

排気量：1297cc
ボア×ストローク：72.0mm × 79.7mm
圧縮比：10.0
最高出力：90PS/6000rpm (搭載車種によって異なる)
最大トルク：12.6kgm/4400rpm (搭載車種によって異なる)

K3型エンジンは、その小型軽量化技術と高い設計柔軟性によって、様々な車種に幅広く搭載され、ダイハツ車の成功に貢献した重要なエンジンでした。

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