ダウン・トゥ・アース (レインボーのアルバム)

レインボー『ダウン・トゥ・アース』：変革と新たな音楽性の融合

『ダウン・トゥ・アース』は、1979年に発表されたレインボーの4枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、バンドにとって大きな転換期に制作されました。

ディオ脱退と新メンバーの加入

1978年12月、バンド結成以来のメンバーであったロニー・ジェイムス・ディオが、音楽性の違いから脱退。ボブ・デイズリー（ベース）とデヴィッド・ストーン（キーボード）もこれに続き、コージー・パウエルだけが残留するという状況になりました。しかし、パウエルの推薦でドン・エイリー（キーボード）が加入し、作曲とプロデュースのために招聘されたロジャー・グローヴァーが、リッチー・ブラックモアの強い要望によりベーシストとして加入。さらに、マーブルスの「オンリー・ワン・ウーマン」を聴いたブラックモアの発案で、グラハム・ボネット（ボーカル）が1979年3月に加入しました。

制作の舞台裏

ディオ脱退後、新体制で初めて制作されたこのアルバムは、フランスの古城シャトー・デュ・パラスで、ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンが所有する移動式スタジオ「メゾン・ルージュ・モービル」を使用して、新メンバー決定前の1979年3月から制作が開始されました。

音楽性と評価

最初にシングル・カットされた「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は、ラス・バラードのカバー曲でした。この曲は、従来のレインボーのオリジナル曲にはあまり見られなかった明るくポップな作風で、バンドにとって初の全英シングル・チャートでのトップ10入り（最高6位）、全米シングル・チャートへのチャートイン（最高57位）を果たす大ヒットとなりました。しかし、その一方で、一部のファンからは批判の声も上がり、コージー・パウエル自身も演奏をためらうほどでした。

収録曲

1. オール・ナイト・ロング (All Night Long)
2. アイズ・オブ・ザ・ワールド (Eyes of the World)
3. ノー・タイム・トゥ・ルーズ (No Time to Lose)
4. メイキン・ラヴ (Makin' Love)
5. シンス・ユー・ビーン・ゴーン (Since You Been Gone)
6. ラヴズ・ノー・フレンド (Love's No Friend)
7. デンジャー・ゾーン (Danger Zone)
8. ロスト・イン・ハリウッド (Lost in Hollywood)

メンバー

グラハム・ボネット - ボーカル
リッチー・ブラックモア - ギター
コージー・パウエル - ドラムス
ドン・エイリー - キーボード
ロジャー・グローヴァー - ベース

カバー

西城秀樹 - 1980年のコンサートで「オール・ナイト・ロング」「アイズ・オブ・ザ・ワールド」「ロスト・イン・ハリウッド」をカバー
* 本城未沙子 - 1982年のアルバム『魔女伝説〜Messiah's Blessing』で「ロスト・イン・ハリウッド」をカバー

『ダウン・トゥ・アース』は、レインボーの歴史において重要なターニングポイントとなったアルバムであり、新たな音楽性の探求と、バンドの進化を示す作品として評価されています。

もう一度検索