ダオルン・チュワタナ

タイ出身の元プロボクサー、ダオルン・チュワタナは、1969年 4月1日にウッタラディット県で生まれた。主にバンタム級で活躍し、WBA世界バンタム級王座を二度にわたり獲得するなど、輝かしい実績を残した。キャリアの中でリングネームを何度か変更しており、ダオルン・MPペトロリアムやダオルン・チョーシリワットとしても知られている。

キャリア

1985年10月4日にプロデビューを果たし、バンコクでの初戦を2ラウンドKO勝利で飾った。キャリア初期はフライ級でリング経験を積み、1987年にはタイフライ級王座決定戦に進出するも判定負け。同年には元世界王者との対戦やタイ王座への再挑戦でも敗れるなど、順風満帆とは言えないスタートだった。しかし、1988年1月には再び空位となったタイフライ級王座決定戦を制し、念願の国内タイトルを獲得した。その後、階級をバンタム級に上げ、1989年11月27日にはタイバンタム級王座に挑戦。判定勝利で2階級目のタイ王座を手にした。

タイバンタム級王座を2度防衛した後、国際的なタイトルを目指した。1991年10月5日、韓国・仁川で閔泳干が保持していたOPBF東洋太平洋バンタム級王座に挑み、7ラウンド負傷判定勝利で王座を獲得した。この頃、彼はダオルン・チュワタナとして戦っていた。OPBF王座は2度、タイ王座は3度防衛を果たした後、これらのタイトルを返上し、世界挑戦への道を切り開いた。

1994年7月16日、自身の故郷であるウッタラディットで、WBA世界バンタム級王者ジョン・マイケル・ジョンソン（アメリカ）に挑戦した。地元の熱狂的な声援を受けたダオルンは、試合開始から積極的な攻撃を仕掛け、わずか初回TKOという劇的な勝利で世界王座をその手に収めた。これはタイボクシング界における大きな出来事だった。

初防衛戦は同年11月20日、チェンマイで韓国の高仁植を迎え撃った。この試合も偶然のバッティングによる負傷により早期に決着がつき、5ラウンド負傷判定で勝利を収め、初防衛に成功した。2度目の防衛戦は1995年5月27日、バンコクで同胞のラクヒン・CPジムと対戦。フルラウンドに及ぶ激闘の末、判定は三者三様のドローとなったが、規定により王座を防衛することができた。しかし、同年9月17日に行われた3度目の防衛戦で、後にバンタム級のトップ戦線で長きにわたり活躍するウィラポン・ナコンルアンプロモーションと対戦し、1-2の僅差の判定で惜しくも敗れ、世界王座から陥落した。この頃のリングネームはダオルン・MPペトロリアムだった。

王座を失った後も現役を続行し、着実に再起を果たした。1996年には4連勝を記録するなど、再び世界挑戦の機会を窺う立場となった。そして、ウィラポンを破ってWBA世界バンタム級新王者となっていたナナ・コナドゥ（ガーナ）への挑戦が決定した。1996年10月27日、バンコクのリングで両者は激突。試合は9ラウンドにコナドゥの負傷により中断され、3-0の負傷判定でダオルンが勝利。一度失ったWBA世界バンタム級王座を再び手にしたのである。この時期のリングネームはダオルン・チョーシリワットだった。

2期目の初防衛戦は1997年5月15日、フェリックス・マチャド（ベネズエラ）を相手に行った。ここでも判定に持ち込まれるタフな試合となったが、2-1の僅差で勝利し、王座防衛に成功した。しかし、同年6月21日、アメリカ・フロリダ州タンパで行われた2度目の防衛戦で、再びナナ・コナドゥとのリマッチが組まれた。自身にとって韓国以外で初めてとなる海外での試合となったこの一戦で、ダオルンは7ラウンドTKO負けを喫し、王座を失った。この敗戦が、彼のプロボクサーとしての最後の試合となり、現役生活にピリオドが打たれた。

ダオルン・チュワタナは、タイ国内のタイトルからOPBF東洋太平洋王座を経て、WBA世界バンタム級王座を二度獲得するという、波瀾万丈のキャリアを送った。特に一度失った世界タイトルを再び奪取した粘り強さと、強豪がひしめくバンタム級での長期間にわたる活躍は、彼のボクサーとしての実力を物語っている。

主な獲得タイトル

タイフライ級王座
タイバンタム級王座（3度防衛後に返上）
第26代OPBF東洋太平洋バンタム級王座（2度防衛後に返上）
WBA世界バンタム級王座（1期目：2度防衛）
* WBA世界バンタム級王座（2期目：1度防衛）

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