ダットサン・110/210

ダットサン・110/210

ダットサン・110/210は、1955年から1959年にかけて日産自動車によって製造された小型乗用車です。文章中での型式名として定義される110型と210型は、主に車体番号に関連づけられていますが、正式な商品名は「ダットサン乗用車」とされています。

110型系（1955年 - 1957年）

110型は1955年1月に市場に登場し、日本の自動車産業において革新的なデザインと機能性が評価されました。このモデルが登場する前、ダットサンが生産していた車両は、戦前の設計に基づくものであり、時代遅れの生産方法が採用されていました。しかし、110型の車体は日産自社による全面プレス化されたもので、ダットサントラックとの共通のシャシ構造を持ちながらも、全体的に現代的なデザインへと刷新されています。

エンジンは従来の「D10型」を使用していましたが、他の部分は大幅に改良され、特にブレーキシステムやギアボックスが新しく設計されました。これにより、実用性や耐久性が向上し、タクシー業界からは高評価を得ることとなりました。また、右からアクセル、ブレーキ、クラッチの一般的なペダル配置に変更され、運転のしやすさも向上しました。特に、110型の成功はその後の量産体制の確立にも寄与し、112型や113型などの進化を遂げました。

210型系（1957年 - 1959年）

1957年には110型をもとに改良を施した210型が登場します。このモデルは、新開発のC型エンジン（OHV 988cc 34馬力）を搭載し、当時の小型タクシー業界のニーズに応えるために設計されました。エンジンに関しては、日産が当初計画していたものから変更があり、アメリカ人エンジニアのアドバイスを受けた結果、オースチン・A50ケンブリッジのエンジンを基にした小排気量エンジンが生まれました。これによって、210型は高出力でありつつも実用性を兼ね備えた車両となりました。

また、210型ではクラッチの構造が改良され、油圧式へと変更されました。これにより、操作性が向上し、さらにデミスターの搭載などがなされ、実用性も大いに向上しました。1958年にはロサンゼルスオートショーで展示され、アメリカ市場への進出が本格化します。専用装備を整え、耐久性のテストとしてオーストラリアで行われたモービルガス・トライアルでも好成績を収め、注目を集めました。

ダットサンの成功には、高い性能と頑強な構造があり、1959年にはモデルが一新され211型となります。これをもってダットサン・110/210シリーズは販売を終了し、その後のモデルに影響を与え続けました。特に、210型の技術やデザインは後のダットサン製品の基盤として位置づけられ、日産の乗用車市場での地位を確立する手助けとなりました。

もう一度検索