ダツ目

ダツ目 (Beloniformes)

ダツ目は、硬骨魚類の分類群の一つであり、2亜目5科36属、約227種で構成されています。このグループには、メダカやダツなどの比較的小型の魚類から、サンマやトビウオといった水産資源として重要な魚類まで、多様な種が含まれています。

概要

ダツ目は、メダカ亜目とダツ亜目の2つの亜目に分けられます。メダカ亜目は、かつてカダヤシ目に分類されていた淡水魚のグループであり、一方のダツ亜目には、外洋での遊泳に適応した海産種が多く含まれています。このように、両グループの生活様式は大きく異なっています。

ダツ目に所属する魚類のうち、約98種は淡水または汽水域に生息し、残りの約129種は海水魚です。海産種は、世界中の暖かい海に広く分布しており、特に熱帯・亜[[熱帯]]の表層では、その数が非常に多いです。メダカは、発生学や遺伝学の分野で実験動物として古くから利用されており、サンマやトビウオなどは、日本を含む世界各地で重要な水産資源として漁獲されています。

ダツ目の魚類は、一般的に体が細長く、断面は円筒形か逆三角形をしています。全ての種類において、間舌骨（舌を構成する骨の一つ）を欠いているため、上顎は固定されており、ほとんどの種では動かしたり、口先を突き出したりすることができません。ダツ亜目の仲間は、成長の過程で下顎が上顎よりも前に出る、いわゆる「受け口」になる時期があります。上顎も同様に長く伸びるダツ科や、下顎だけが長く伸びたままのサヨリ科など、成魚の形態は種によって様々です。

鰭は、棘条を持たず軟条のみで構成されており、腹鰭は腹部に、背鰭と臀鰭は体の後方に位置しています。サンマ科の仲間は、背鰭・臀鰭と尾鰭の間に、小離鰭と呼ばれる独立した鰭条を複数持っています。尾鰭の下葉は、上葉よりも主鰭条が多く、トビウオ科とサヨリ科では、下葉が特に長く発達しています。

産卵は、藻場や流れ藻に対して行われ、卵に粘着性の卵糸を持つ種類が多いです。卵は一般的に大きく、小型のメダカでも直径1.5mm程度、ダツの仲間では3mmに達するものもいます。

分類

ダツ目は、メダカ亜目とダツ亜目の2つの亜目からなり、5科36属227種で構成されています。トウゴロウイワシ目やカダヤシ目との系統関係が近いと考えられています。

メダカ亜目

メダカ亜目は、1科4属28種で構成されています。かつてはカダヤシ目の一部として分類されていましたが、鰓弓の骨格や舌骨装置の構造にダツ目との共通点が認められたため、現在ではダツ目に含められています。しかし、この分類には異論もあり、メダカ亜目とダツ亜目に共通する特徴は、間舌骨を欠くことのみであるため、メダカ亜目を旧分類のようにカダヤシ目に含めるべきという意見もあります。また、ダツ目への所属を否定する場合でも、独立した「メダカ目」として、ダツ目とカダヤシ目の中間に位置づける可能性も考えられます。

メダカ科

メダカ科は、3亜科4属28種からなり、インドから日本、オーストラリア、および周辺の島嶼地帯に分布しています。全ての種類が淡水または汽水域に生息し、日本にはミナミメダカとキタノメダカが生息しています。体部に側線を持たないことが特徴です。

ダツ亜目

ダツ亜目は、2上科4科32属199種で構成されています。側線は体の下方に位置し、胸鰭よりも下、腹部の近くを走行します。成長のいずれかの段階で、下顎が上顎よりも長く伸びる時期があります。ほとんどの種類では、胸鰭が体の高い位置にあります。

トビウオ上科

トビウオ上科は、2科20属161種を含みます。口と歯は小さく、鱗は大きく、側線鱗は通常38-60枚です。

ダツ上科

ダツ上科は、2科12属38種で構成されています。鱗は小さく、側線鱗は70から350枚以上です。口は大きく、成魚では両顎または上顎が長く伸びます。ダツ科の一部とサンマ科を姉妹群とみなし、両科を統合して初めて単系統になるとする見解もあります。

ダツ目は、多様な生態と形態を持つ魚類を含み、分類学的な議論も活発なグループです。水産資源としての重要性だけでなく、実験動物としての利用価値も高く、様々な研究が行われています。

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