ダニアン

ダニアン（Danian）

ダニアンとは、紀元前66.0百万年から61.6百万年前の、古第三期の一部として位置づけられる地質時代です。この時代の模式地はデンマークのステウンス・クリントとファクス島であり、名前はデンマークのラテン語名に由来しています。

層序学における位置づけ

ダニアンという名称は、スイスの地質学者Pierre Jean Édouard Desorが1847年に発表した論文で紹介されました。1868年には、白亜紀と暁新世の境界であるK-T境界と関連があるモンティアンという名前が登場しましたが、現在ではダニアンと同義と考えられています。ダニアンの基底は、世界中でK-T境界を示すイリジウムの濃集層によって定義されており、特にチュニジアのEl Kef近くで観察されるK-T境界粘土層が基準点とされています。上部の境界は、海洋生層序からナノプランクトンの発生とほぼ一致し、特定の石灰質ナノプランクトンの出現が確認されています。

ダニアン期の気候と生物

ダニアン期の初めには、気候に大きな変化があったものの、その後は比較的温暖な気候が続きました。この時代には、恐竜は絶滅し、他の陸上動物は小型の種が中心で、最大の陸上動物も現代の大きな猫程度にしか成長しませんでした。恐竜絶滅後の空白に哺乳類は進出してきますが、その姿はまだ目立っていません。また、多くの現代の鳥の系統がオーストラリア地域で生き残っていました。

化石としては海中の有孔虫以外はほとんど発見されず、陸上動物に関しては歯以外の化石は稀です。海の状況は相対的には白亜紀末と類似していましたが、海洋爬虫類は絶滅したため、生物の種類と数は減少し、サイズも小さくなりました。最初の7万年間には、海洋無酸素事変が発生しました。

興味深いことに、恐竜が白亜紀末を越えて生き延びていた可能性を示す化石がいくつか発見されています。例えば、北米のある地層からはアラモサウルスの化石が見つかり、これはK-T境界の70万年後のものとされています。また、フランスでは約6300万年前の地層からヒプセロサウルスの卵とされる化石が発見されています。したがって、恐竜がいつまで存在したかは依然として謎に包まれていますが、ダニアン期の後にはその痕跡は途絶えているとされています。

ダニアン期は、古生物学や地質学において重要な時代であり、生命の進化や環境変化を理解するための鍵となる時期です。

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