ダニエル・インボデン

ダニエル・キャリントン・インボデンについて

ダニエル・キャリントン・インボデン（1893年 - 1965年）は、アメリカのジャーナリストであり陸軍の軍人でもあった。彼は、連合軍による日本占領期間中に連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の民間情報教育局（CIE）で新聞課長として重要な役割を果たし、日本の新聞業界の変革に影響を与えた。

彼はバージニア州に生まれ、テキサスA&M大学を1912年に卒業後、カリフォルニア州シルバーシティで商工会議所の職員として働いた。しかし、第一次世界大戦が始まると、彼は軍に参加して従軍する。その後、ジャーナリストとしての道を歩み1942年には第二次世界大戦で再び軍務に就くこととなった。戦後日本に進駐し、CIEの新聞課長補佐に任命され、さらには課長に昇進する。

インボデンは就任後、「新聞はその主や編集者が責任を負わなければならない」という信条を持ち、新聞社の経営者に立ち向かう姿勢を示した。彼は多くの争議に介入し、当時の日本ではほとんど存在しなかった編集権の概念を広めるため活動した。特に1946年の『読売新聞』に対するプレスコード違反の警告は、反響を呼び起こし、その後の新聞界の動きに影響を与えた。

また、インボデンは各地を訪問し新聞社を視察し、「新聞講座」として新聞社員を対象に講演を行うなど、教育的活動にも従事した。彼は北海道に足を運び、『北海道新聞』の社員に講演を行った際には、新聞社が共産党に同調しないよう圧力をかけた。その結果、新聞社の社員が処分される事態となり、「道新五三名事件」として記憶されることとなる。このような取り組みの背景には、彼がジャーナリズムの民主化を目指していたという意図があった。

その後の評判はさまざまであり、多くの人々からは権威主義的で横暴な人物として捉えられることもあったが、外務官僚の奈良靖彦は彼を「純朴なヤンキー」と評価した。インボデンは地方紙の発展を深く重視し、1947年には愛媛新聞を評価し、全国にその前例を広めることを期待した。彼の考えでは、地方紙の成長が日本全体の民主主義を確立する鍵であると考えていたようであり、実際に多くの地方紙の発展に寄与したとされている。

さらに、学校新聞の奨励にも力を入れ、新たに発足した全国高等学校新聞連盟に対しても協力的であった。1949年には、「新生日本は尊徳の再認識を必要とする」というテーマで寄稿し、二宮尊徳を新たな視点から評価したことも注目される。

1952年に日本の占領が終了すると、インボデンはアメリカに帰国し、ワシントン州シアトル郊外のタコマにあるフォート・ルイスで軍を退役。1965年、カリフォルニア州サンルイスオビスポで生涯を閉じた。

彼の活動は、占領下の日本におけるジャーナリズムの変革において重要なのはもちろん、その後のメディア環境にも影響を与え続けている。このようにダニエル・キャリントン・インボデンは一時代の変化の中で、特異な存在として記憶され続けることであろう。

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