ダニエル・T・グリフィン (護衛駆逐艦)

ダニエル・T・グリフィン (USS Daniel T. Griffin, DE-54/APD-38)

ダニエル・T・グリフィンは、真珠湾攻撃で戦死した水兵ダニエル・T・グリフィンにちなんで命名された、アメリカ海軍のバックレイ級護衛駆逐艦の一隻です。当初は護衛駆逐艦として建造されましたが、後に高速輸送艦へと改装され、その役割を大きく変えました。

起工から就役、そして大西洋での船団護衛

1942年9月7日、マサチューセッツ州ヒンガムのベスレヘム・ヒンガム造船所で起工されたダニエル・T・グリフィンは、1943年2月25日にD・T・グリフィン夫人によって命名、進水しました。同年6月9日には艦長P・M・フェントン少佐の指揮下、正式に就役しました。

就役後、ダニエル・T・グリフィンは大西洋での船団護衛という重要な任務に就きます。1943年8月15日から9月24日には、仏領モロッコのカサブランカへ向かう船団を護衛し、その後はニューヨークと北アイルランド間での船団護衛を担当しました。1943年10月13日から1944年9月23日までの間には、実に8度もの大西洋横断を経験し、連合国への物資輸送を安全に支援しました。

高速輸送艦への改装

1944年10月22日、ダニエル・T・グリフィンはニューヨーク州のスタテンアイランドに到着し、チャールズ・ローレンス級高速輸送艦への改装工事を受けました。この改装により、ダニエル・T・グリフィンは1944年10月23日にAPD-38（高速輸送艦）へと艦種変更され、新たな役割を担うことになります。

太平洋戦線での活躍

高速輸送艦への改装後、ダニエル・T・グリフィンは太平洋戦線へと派遣されます。1945年1月13日にノーフォークを出航し、2月6日に真珠湾に到着、水中破壊チームと共に任務に就きました。2月14日にはウルシー環礁およびコソル水道へ向かう船団の護衛を担当し、続いて3月5日にレイテ島のサンペドロ湾に到着、ホノンハン島沖での侵攻作戦演習に従事しました。

3月19日には慶良間列島に向けて出航、26日に到着し、沖縄戦に参加しました。沖縄戦の間、ダニエル・T・グリフィンは慶良間列島で船団護衛と掃海を行い、沖縄の海岸に爆薬を届けた後、5月18日まで救難艦任務に従事しました。4月6日には数機の特攻機の攻撃を受けましたが、少なくとも2機を撃墜するなどの戦果を挙げました。また、駆逐艦モリス (USS Morris, DD-417) が攻撃を受けた際には、モリスを慶良間列島まで護衛し、その消火活動を支援しました。

戦後の活動とチリ海軍への移管

ダニエル・T・グリフィンは1945年5月20日から6月19日までの間、サイパンで沿岸護衛任務に従事し、続いて沖縄への船団護衛、沖縄からウルシー環礁への船団護衛を行いました。7月11日にはサンペドロ湾に到着し、9月22日までフィリピンでの様々な任務に従事した後、呉に占領軍部隊を輸送し、10月6日から11日にかけて部隊を上陸させました。

10月16日にマニラに帰還、12月2日にフィリピンで配置転換され、本国へ向けて出航しました。サンディエゴに寄港した後、1946年1月11日にノーフォークに到着し、3月4日にフロリダ州グリーンケーヴスプリングスに到着、同地で1946年5月30日に予備役となりました。

1966年11月15日、ダニエル・T・グリフィンはチリに移管され、ビルヒリオ・ウリベ (Virgilio Uribe, APD-29) と改名されました。ビルヒリオ・ウリベは1995年に退役し、スクラップとして廃棄されました。

ダニエル・T・グリフィンは、第二次世界大戦の戦功で1個の従軍星章を受章しました。

この艦は、その名が示すように、勇敢な水兵の精神を受け継ぎ、大西洋と太平洋という広大な戦場で重要な役割を果たし続けたのです。

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