ダライ・ラマ6世

ダライ・ラマ6世 ツァンヤン・ギャツォ：奔放な魂とチベットの苦難

ダライ・ラマ6世、ツァンヤン・ギャツォ（1683年 - 1706年）は、チベット仏教ゲルク派のダライ・ラマの転生者として認められましたが、その型破りな生涯は、チベット社会に大きな波紋を広げました。

ダライ・ラマ6世の背景

ダライ・ラマ5世は、チベットを再統一し、モンゴルや清といった強大な勢力からも信仰を集める絶大な権力者でした。そのため、その後継者となるダライ・ラマ6世の地位は、政治的にも非常に重要な意味を持っていました。

ダライ・ラマ5世の死後、摂政サンギェ・ギャツォらは、その死を隠蔽し、後継者探しを秘密裏に進めます。これは、ダライ・ラマ5世の権威を維持し、政治的な混乱を避けるための措置でした。

生涯

ツァンヤン・ギャツォは、1683年にチベット南部のタワンで生まれました。幼少の頃から、その誕生には数々の神秘的な伝説が語られています。5歳の時にダライ・ラマ5世の後継者として認められ、チベット中央に迎えられました。

1697年、ダライ・ラマ6世として即位しますが、僧としての生活に馴染むことができませんでした。1702年には沙弥戒を返上し、還俗を宣言。恋愛や歌を愛し、自由奔放な生活を送りました。その歌は民衆に愛され広く親しまれました。

型破りなダライ・ラマ

ダライ・ラマ6世の行動は、伝統的な僧侶のイメージとはかけ離れたものでした。しかし、民衆は彼を非難するよりも、その親しみやすい人柄と歌を愛しました。彼の歌は、チベットの庶民の間で広く歌い継がれています。

悲劇的な最期

しかし、ダライ・ラマ6世の奔放な生活は、政治的な陰謀を招きます。1705年、ホシュート部がチベットに侵攻し、摂政サンギェ・ギャツォを殺害。翌1706年には、ダライ・ラマ6世は廃位され、清への護送中に青海の地で亡くなりました。その死因は、病死とも暗殺とも言われています。

その死後

ダライ・ラマ6世の死後、ホシュート部は新たなダライ・ラマを擁立しますが、チベット民衆の支持を得られませんでした。その後、ダライ・ラマ7世が擁立され、清のチベット支配が進んでいくことになります。

著作

ダライ・ラマ6世は、数々の恋愛の歌を作りました。これらの歌は、『恋愛彷徨詩集』として翻訳され、今も多くの人々に愛されています。

まとめ

ダライ・ラマ6世ツァンヤン・ギャツォは、型破りな生涯を送った人物でした。その自由奔放な生き方は、チベット社会に大きな波紋を広げ、政治的な混乱を招きましたが、その人柄と歌は、今もなお多くの人々に愛されています。彼の生涯は、チベット仏教の歴史における異色の存在として、語り継がれています。

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