ゲルク派

ゲルク派（黄帽派）とは

ゲルク派は、チベット[[仏教]]の主要な宗派の一つで、ツォンカパによって開かれた宗派です。その特徴から「黄帽派」や「黄教」とも呼ばれます。総本山はガンデン寺であり、ダライ・ラマやパンチェン・ラマもこの宗派に所属しています。

歴史と概要

17世紀以降、歴代のダライ・ラマがチベットの政教における最高指導者となったことに伴い、ゲルク派はチベット[[仏教]]における最大宗派としての地位を確立しました。しかし、20世紀中葉以降、中華人民共和国によるチベット支配により、チベット[[仏教]]全体が抑圧される中で、ゲルク派は特に徹底的な弾圧を受けました。それでもなお、21世紀現在においても、ゲルク派はチベット[[仏教]]の最大宗派としての地位を維持しています。

ツォンカパの教え

ゲルク派の創始者であるツォンカパは、中観帰謬論証派の立場から顕教を重視しました。彼は、密教は顕教を完全に修めた者のみに許されるべきであるという「倫理性」を重んじました。ツォンカパの宗教的な情熱と徹底した論理性は当時の僧侶たちの心を動かし、彼の生前から多くの信奉者を集めました。

教育システム

ゲルク派は、顕教を重視する観点から、仏教学全般に関する教科書（yig cha）を多数編纂しました。これにより教育カリキュラムが整備され、一定の方法で多くの僧侶を育成する体制が整いました。地方から中央の寺院に留学生を受け入れ、教育を施した後に地方へ帰し、そこでさらに同じ教育体制を築くという方法で勢力を拡大していきました。

運営体制

ゲルク派の管長（教主）は、総本山ガンデン寺の座主であるガンデン・ティパです。ガンデン・ティパは、ゲルク派の高僧の中から互選され、ダライ・ラマの承認を経て任命されます。ガンデン・ティパは原則として数年ごとの任期制ですが、ダライ・ラマ14世の師であるリン・リンポチェは終身座主を務めました。2009年から2016年の間は、ラダック出身の第102代リゾン・リンポチェがガンデン・ティパを務め、2016年には第103代ガンデン・ティパとしてジェツン・ロブサン・テンジンが就任しました。

主要な寺院

ゲルク派の主要な寺院としては、以下のものが挙げられます。

ガンデン寺: ゲルク派の総本山であり、ガンデン・ティパの座所。
セラ寺
デプン寺: 17世紀までダライ・ラマの座所であった。
タシルンポ寺: パンチェン・ラマの座所。
タール寺（クンブン寺、クンブム寺）
ラプラン寺

これらのうち、ガンデン寺、セラ寺、デプン寺をゲルク派三大寺院と呼び、タシルンポ寺を加えたものを四大寺院、さらにタール寺とラプラン寺を加えたものを六大寺院と呼びます。

宗派内の問題

17世紀半ばからゲルク派内部の保守強硬派によって行われてきた護法尊シュクデンの崇拝について、ダライ・ラマ14世が批判したことが、宗派内の深刻な問題となっています。シュクデン崇拝者はダライ・ラマによって信仰を禁止されたり、破門されたと主張しています。シュクデンを信仰するグループは「シュクデン派」と呼ばれ、ゲルク派から袂を分けたグループや、ゲルク派に留まりながらシュクデン信仰を続けるグループが含まれています。

参考文献

栂尾, 祥雲 (1951). “喇嘛教と日本佛教 (上) : 特に密教を中軸として”. 密教文化 (密教研究会) 1951 (13): 1-21. https://doi.org/10.11168/jeb1947.1951.1

関連項目

チベット[[仏教]]
ヴィクラマシーラ大学
アティーシャ
カダム派
ツォンカパ
秘密集会タントラ

外部リンク

チベット[[仏教]]ゲルク派 宗学研究室 - チベット[[仏教]]普及協会　事務局長、齋藤保高による個人サイト

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