ダリネゴルスク

ダリネゴルスク

ダリネゴルスク（ロシア語: Дальнегорск）は、ロシアの極東部に位置する町で、沿海地方の中心的な地域に属しています。2021年の時点で、人口は約33,655人です。この町は、1860年まで清国の領土であったため、テチューヘという名で知られていました。これは中国語の地名を元にしており、当初の名称は「野猪河」として知られていました。1972年には、中ソ対立の影響を受けて現在の名称に改称され、地域のロシア化が進められました。

地理と気候

ダリネゴルスクは、日本海から約30km内陸に位置し、シホテアリニ山脈の中にあります。この地域にはルドナヤ川（鉱石の川）が流れており、最寄りの港は35km先のルドナヤプリスタニです。ウラジオストクからの交通網が整備されており、道路や鉄道でアクセス可能です。

地元の気候は、冬場の厳しい寒さが特徴で、大陸性の乾燥した風がもたらす寒気が影響を与えています。一方、夏は日本海からの湿った風が流れ込み、降水量が増加し、湿潤な気候が続きます。

歴史

町の歴史は1899年に始まり、スイスから移民してきたユリウス・ブリンナーが鉛と亜鉛の鉱山を開設したことがきっかけです。彼の息子ボリス・ブリンナーが鉱山を管理し、1931年まで続きました。この鉱山はソビエト連邦の中でも最後に国有化されたもので、ボリスの息子ユル・ブリンナーは後にハリウッドの映画俳優として名を馳せます。

1930年にはテチューヘが都市型集落に昇格し、1972年にはダリネゴルスクに改名されました。1989年には市制が施行され、地域の発展を支える基盤となっています。

産業

ダリネゴルスクの経済は主に採鉱業に依存しています。「JSC Dalpolimetal」と「JSC Bor」という2つの大企業が地域経済を支えており、鉛を主な産物としているダリポリメタル社は、ロシア全体の58%の鉛を生産し、その大半はアジアや欧州諸国へ輸出されています。ボル社は、ホウ酸や洗剤などを製造する化学企業で、その製品は精密機器の原料として広く利用されています。

しかし、採鉱活動に伴う環境汚染の問題も指摘されています。ブラックスミス研究所による調査では、ダリネゴルスク周辺が世界で最も汚染された場所の一つとされていますが、ロシアの環境NGOはその評価に疑問を呈しています。また、周辺地域には生物豊かな山林地帯も広がっており、エコツーリズムの可能性も期待されています。

UFO事件

ダリネゴルスクの近郊に位置するイズヴェストコヴァヤ山では、1986年に未確認飛行物体（UFO）の目撃事件が発生しました。この出来事は「611高地UFO事件」として知られ、多くの関心を集めています。

ダリネゴルスクはその独特の歴史と地理的特徴を併せ持つ町であり、訪れる人々に様々な体験を提供しています。

もう一度検索