ダリュー賞

ダリュー賞：フランス競馬史に名を刻んだ伝統の競走

ダリュー賞は、フランス・ロンシャン競馬場で行われていた3歳馬による2100メートルの重賞競走です。廃止時の格付けはG2で、4月中旬に開催されていました。フランスダービーへの重要なステップレースとして、長年に渡りフランス競馬界において重要な位置を占めていました。

フランスダービーへの登竜門

ダリュー賞は、フランスダービー（ジョッキークラブ賞）への登竜門として知られる「プール・デ・プロデュイ」と呼ばれる5つの競走の1つでした。このグループレースは、フランス馬の改良と育成を目的としたフランス馬種改良奨励協会によって設けられ、ダリュー賞はその中でも重要な役割を担っていました。

19世紀には、フランス競馬史に名を刻む名馬モナルク（グラディアトゥールの父）、ボイアール、パースといった名馬たちがダリュー賞を制し、その後フランスダービーへと駒を進めています。20世紀に入っても、プリンスシュヴァリエなど、フランスダービー優勝馬を輩出。しかし、1957年のアンバーを最後に、ダリュー賞優勝馬からフランスダービー優勝馬は生まれなくなりました。

日本との繋がり

ダリュー賞には、日本競馬にも大きな影響を与えた面があります。ファラモンド、ムーティエ、アイリッシュボール、カーホワイトといった種牡馬が日本に輸入され、その血統は日本のサラブレッド界に深く根付いています。また、リファールやプリンスビオといった著名馬もダリュー賞に名を連ねています。これらの馬たちは、日本の競走馬育成に多大な貢献を果たしました。

歴史と変遷

ダリュー賞は1841年、「プール・デ・プロデュイ」という名称で創設されました。当初はシャンドマルス競馬場で行われ、後にロンシャン競馬場へと移されました。開催時期も5月に行われていましたが、1877年、フランス競馬奨励協会会長を務めたポール・ダリュー子爵を称え、現在の「ダリュー賞」と改称されました。

戦争による中断

ダリュー賞の歴史は、戦争の影響も受けています。普仏戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と、幾度となく中断を余儀なくされました。特に第二次世界大戦中は、ドイツ軍の占領下においても開催が続けられましたが、1943年には連合軍の空爆を避けるために、トランブレー競馬場での開催、さらにはノアイユ賞との統合を余儀なくされ「ダリュー・ノアイユ賞」として開催されました。ロンシャン競馬場がアメリカ軍の駐屯地となった影響で、1944年と1945年はメゾンラフィット競馬場を代替地として使用。1946年にロンシャン競馬場に戻り、1947年からは再びダリュー賞とノアイユ賞は別々の競走として開催されるようになりました。

グレード制導入と廃止

1971年にフランス競馬にグレード制が導入されると、ダリュー賞はG2に格付けされました。しかし、1977年を最後にダリュー賞は廃止されました。最後の優勝馬はカーホワイト、騎手はフレディ・ヘッド、調教師はアレク・ヘッド、馬主はジャック・ウェルテミエでした。

プール・デ・プロデュイ

ダリュー賞が属していた「プール・デ・プロデュイ」は、フランスダービーの前哨戦として位置づけられた5つの競走を指します。ノアイユ賞、ダリュー賞、リュパン賞、オカール賞、グレフュール賞から構成され、これらの競走に出走できる馬には、父馬や母馬の産地に関する制限がありました。特にダリュー賞は、「フランス国外で生産された牝馬」の産駒に限定され、出走馬が生まれる前の段階で登録する必要がありました。

結語

ダリュー賞は、フランス競馬の歴史と発展に大きく貢献した伝統的な競走でした。多くの名馬を輩出し、日本競馬にも多大な影響を与えました。その歴史と伝統は、現代のフランス競馬、ひいては世界競馬の歴史の中に刻み込まれています。現在ダリュー賞は廃止されていますが、その栄光の歴史は決して色褪せることはありません。

もう一度検索