ファラモンド

ファラモンドII：イギリスの競走馬からアメリカの種牡馬へ

ファラモンドII（Pharamond II、1925年-1952年）は、イギリスで生まれ、アメリカで種牡馬として成功を収めたサラブレッド競走馬です。本稿では、その生涯と功績について詳細に解説します。

出自と体格

ファラモンドIIは、イギリスの名オーナーブリーダーであった第17代ダービー伯爵の所有するスタンリーハウススタッドで生産されました。母は名牝シリーンで、チェヴァリーパークステークスなどを制覇しています。父は名種牡馬ファラリスであり、全兄には後にアメリカリーディングサイアーとなるシックルがいます。ファラモンドIIは、母譲りの小柄な体格と太く短い首が特徴でした。

競走馬時代

1927年、2歳で競走馬としてデビューしたファラモンドIIは、ジョージ・ラムトン調教師の管理下に置かれました。デビュー戦では着外に終わり、その後も勝利からは遠ざかりました。しかし、ミドルパークステークスでは、幸運にも好メンバーに恵まれ、優勝を収めます。これは6戦目にして初めての勝利でした。

3歳となった1928年にはフランク・バッターズ調教師のもとに移籍。ダービーステークスを目指して調整されましたが、思うような結果を残せず、エルズミーアステークスでの勝利が最後の輝きとなりました。通算成績は11戦2勝と華々しいものではありませんでしたが、ミドルパークステークス優勝という実績を残しました。

渡米と種牡馬としての成功

競走馬を引退したファラモンドIIは、アメリカ合衆国のケンタッキー州の生産者、ハル・プライス・ヘッドリーに購入されました。アメリカには同名の馬がいたため「ファラモンドII」と呼ばれるようになりました。ボーモントファームで種牡馬生活を開始したファラモンドIIは、多くの優秀な産駒を輩出しました。生涯で399頭の産駒のうち、35頭がステークス競走で勝利を収めたのです。

当初は産駒の成績が振るわず、シンジケートは解散しましたが、その後はハイグリーやメノウといった活躍馬を輩出し、1938年にはリーディングサイアーに迫る2位を獲得しました。

代表的な産駒

ファラモンドIIの産駒は、早熟の傾向がありましたが、中には年を経るごとに長距離で活躍する馬もいました。

代表的な産駒に、2歳時にフューチュリティステークスを制覇し、三冠馬ウォーアドミラルを破る活躍を見せたメノウがいます。メノウは種牡馬としても成功し、トムフールなど多くのステークス勝ち馬を輩出しました。

他にも、ハイグリー、バイジミニー、コズミックボム、アポジーなど、多くのステークス競走勝ち馬を送り出しました。

血統と評価

ファラモンドIIの父はファラリス、母父はチョーサーです。この組み合わせは、フェアウェイやファロスといった名馬を生んだ、優れた配合として知られています。ファラモンドII自身は、競走馬としては目立った成績ではありませんでしたが、優れた種牡馬として、アメリカ競馬界に多大な貢献を果たしました。現在、その父系はメノウの産駒トムフールを通して、トムフール系として受け継がれています。

ファラモンドIIは、競走馬としては平凡な成績に終わりましたが、種牡馬としては大きな成功を収めたサラブレッドとして、競馬史にその名を刻んでいます。その血統は現在も受け継がれ、現代競馬にも影響を与え続けているのです。

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