ダルド歩兵戦闘車

ダルド歩兵戦闘車（VCC-80 Dardo）

ダルド歩兵戦闘車（ダルドほへいせんとうしゃ、英語: VCC-80 Dardo）は、イタリアにおいて開発された歩兵戦闘車です。この車両の名称「VCC-80」は、イタリア語で「80年代型装甲戦闘車両」を意味しています。1980年代初頭にイタリア陸軍は、FMC社のAIFVを参考にした前のモデル、VCC-1 カミリーノの運用を開始しましたが、その限界が明らかとなったため、より高性能な歩兵戦闘車の開発を決定しました。

来歴

イタリア陸軍は、1973年から本格的な歩兵戦闘車の研究を始め、1982年にはオート・メラーラ社とイヴェコ社に対して具体的な開発を発注しました。1986年には第1次試作車が完成し、その後改良を重ねて第2次試作車が1990年から1991年にかけて完成しましたが、VCC-1の発展型であるVCC-2の配備が優先されたため、正式な制式化には1998年までかかりました。現在、ダルドは老朽化が進んでおり、2023年1月16日にはイタリア政府が後継車両の開発を進める企業を数ヶ月以内に選定すると発表。2024年には新たな合弁会社が設立され、今後の戦闘車両開発が進む見通しです。

設計

ダルド歩兵戦闘車は、アルミニウム合金製の車体と砲塔を装備しており、これは国際的なアルミニウム合金名で5030番と7020番に当たります。さらなる防御力強化のため、重要な部分には防弾鋼板も使用されています。正面装甲は25mm APDS弾に対する耐弾性を持ち、全周では14.5mm API弾に耐えられる設計です。また、煙幕展張用の80mm煙幕弾発射機が4基搭載されており、戦術的な運用が可能となっています。

ダルドにはTC-25 HITFISTという2名用砲塔が搭載されており、主武装のKBA 25mm機関砲は75発の徹甲弾と125発の焼夷榴弾を即用弾として収容。射撃統制装置にはアメリカのM2ブラッドレー歩兵戦闘車に由来するDNRSをファイナルで採用しています。さらに、対戦車ミサイルを発射するためのBGM-71 TOWまたはスパイクLRの発射機が2基装着され、副武装としてMG42/59 7.62mm機関銃が1丁搭載されています。

機動力

ダルドの動力源として、イヴェコ-フィアット製の520HP-6V-MTCAターボチャージド・ディーゼルエンジンが採用されており、出力と重量の比は22.2 hp/tとなっています。トランスミッションはLSG1500の自動変速機で、前進4段、後進2段のギアがあります。加速に関しては、停止状態から40km/hに達するまでに15秒を要します。サスペンションはハイドロニューマチックのトーションバー式で、トーションバーの直径は45mmとなっています。

運用

2000年から本格的にイタリア陸軍での運用が開始され、最初に配備されたのはガリバルディ機械化旅団でした。また、ダルドは2004年のイラク戦争やアフガニスタン紛争においても実戦投入され、各地で活躍しています。近年では、その後継機の開発が進められていることから、ダルドの今後の運用に影響を与える可能性があります。

以上がダルド歩兵戦闘車の概要と運用歴です。この車両はメカニカルな特性や装甲技術の進化を体現しており、今後も注目される存在となることでしょう。

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