ダンサー (1987年の映画)

映画『ダンサー』解説

『ダンサー』（Dancers）は、1987年に公開されたアメリカ映画で、ハーバート・ロスが監督を務めました。主演はミハイル・バリシニコフで、バレエ界のスターが、自身の経験を活かした演技を披露しています。共演には、ジュリー・ケント、アレッサンドラ・フェリ、レスリー・ブラウンなどが名を連ねています。

ストーリー

物語は、バレエ作品『ジゼル』の映画化プロジェクトを中心に展開します。イタリアを舞台に、製作費削減のために海外ロケを行うことになった映画版「ジゼル」。

かつてバレエ団のスターだったトニー・セルゲエフは、今回の撮影を最後にダンサーを引退しようと考えていました。彼は過去の情熱を失い、恋人であるフランチェスカとの関係も上手くいっていません。そんな中、17歳のバレリーナ、リサ・ストラッサーが彼の前に現れます。リサはトニーを尊敬しており、彼に会えたことに感激しますが、トニーの女性関係を知る先輩バレリーナのナディンから忠告を受けます。一方、トニーはリサに「ジゼル」の面影を感じ、惹かれていきます。

リハーサルが進むにつれ、トニーは完璧主義を追求し、他の出演者と意見が対立します。彼はリサに興味を持ち、彼女との交流を深めます。ドライブに連れ出した際、リサから告白を受け、二人はキスを交わします。しかし、撮影現場にトニーの婚約者と噂される伯爵夫人が現れたり、ゴシップ記事が出回ったりと、二人の関係には様々な障害が立ちはだかります。

撮影当日、リサはトニーが結婚するという記事を見せつけられ、ショックを受けます。さらに、トニーが過去に他の女性にも使っていた「白樺の木に似ている」という言葉をナディンから聞かされ、深く傷つきます。しかし、一幕を演じ終えたトニーは、かつてバレエに抱いていた情熱を取り戻し、型にはまらない演技を披露します。その姿を見たパトリックは喜びます。トニーと話していたコンテッサは、自身との結婚報道を一笑に付します。しかしその時、リサが劇場から逃げ出したことを知らされたトニーは、彼女を追いかけます。

作品の背景

本作は、ハーバート・ロスの妻であるノラ・ケイに捧げられています。彼女は映画公開前に亡くなっており、作品には彼女への追悼の意が込められています。しかし、公開前から痛烈な批判も浴びました。

キャスト

トニー・セルゲエフ：ミハイル・バリシニコフ
リサ・ストラッサー：ジュリー・ケント
フランチェスカ：アレッサンドラ・フェリ
ナディン：レスリー・ブラウン

スタッフ

監督：ハーバート・ロス
脚本：サラ・ケルノチャン
製作：ヨーラム・グローバス、メナヘム・ゴーラン
製作総指揮：ジャック・ブロドスキー、ノラ・ケイ
* 音楽：ピノ・ドナッジオ

映画が描くもの

『ダンサー』は、芸術への情熱、愛、そして人間関係の複雑さを描いた作品です。バレエダンサーたちの舞台裏や、彼らが抱える苦悩、葛藤がリアルに描かれています。ミハイル・バリシニコフの圧倒的な存在感と、美しいイタリアの風景も魅力の一つです。

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