ダンフェール＝ロシュロー駅

ダンフェール＝ロシュロー駅：パリ南部交通の要衝

パリ14区に位置するダンフェール＝ロシュロー駅は、RER B線、メトロ4号線、6号線の3路線が乗り入れる、パリ南部における重要な交通拠点です。歴史的な背景と近代的な駅舎構造、そして周辺環境が一体となり、この駅を特徴づけています。

駅舎と構造

RER B線は、ダンフェール＝ロシュロー駅を境に、北側が地下線、南側が高架線へと移行します。相対式ホーム2面2線の構造で、北半分はダンフェール＝ロシュロー広場の地下に位置しています。地上にある駅舎は1846年の開業当時からのもので、円弧状の独特な形状が印象的です。内装は改修されていますが、パリの主要駅舎の多くが19世紀末から20世紀にかけて建て替えられたことを考えると、開業当時の建物が現在も残っていることは非常に珍しく、歴史的価値が高いといえます。駅舎の南東部には、ソー線起点駅時代のホーム跡が留置線として残されています。

メトロ4号線と6号線もダンフェール＝ロシュロー広場の地下に位置し、相対式ホーム2面2線の構造です。6号線はRERと4号線のさらに地下に設置されています。広場や周辺には複数の出口があり、地下にはRERとの連絡通路と乗換改札が設けられています。

歴史

ダンフェール＝ロシュロー駅の起源は、1846年6月23日に開業したソー線の起点駅にあります。当時はパリ市外であり、アンフェール城門（地獄の門）の外側に位置していたことから、アンフェール駅やソー駅と呼ばれていました。開業当初のソー線は軌間1750mmの広軌で、独自の車軸転向装置であるアルノー式を採用していました。これは急曲線を安定して走行するための工夫です。駅構内は最小半径25mのループ線となっており、機関車の付け替えなしで折り返し運転が可能でした。

1857年にパリ・オルレアン鉄道に買収され、1860年にはパリ市域の拡張により市内駅となりました。1879年には、広場と駅名がダンフェール＝ロシュローへと改称されました。1891年には標準軌への改軌とアルノー式の廃止、ループ線の廃止と島式ホームへの変更が行われました。1895年には、ソー線がリュクサンブール駅まで延伸され、ダンフェール＝ロシュロー駅のホームは地下に移設されました。地上の駅舎は地下ホームへの入口として使用され続けました。

1906年と1909年には、メトロ2号線（現6号線）と4号線がダンフェール＝ロシュロー駅に乗り入れました。1930年代には、後のRERの原型となる地域メトロ計画の一環として、ソー線の電化や近代化が進められ、1937年には電化が完了しました。1938年にはパリ・オルレアン鉄道の国有化が行われましたが、ソー線のマッシー・パレゾー駅以北はCMP（パリ首都鉄道、RATPの前身）の路線となり、メトロ各線と一体運営されるようになりました。そして、1977年にはソー線がRER B線となりました。

駅周辺

駅の上にはダンフェール＝ロシュロー広場が広がり、かつての城門の建物やカタコンブの入口があります。地下には、1944年のパリ解放時のレジスタンス司令部があった場所も存在します。広場には、ベルフォールのライオン像のレプリカも設置されています。

交通アクセス

駅周辺には、RATPの市内路線バスが停車しており、オルリー空港行のバス「Orlybus」の発着場所でもあります。

隣の駅

RER B線：ポール＝ロワイヤル駅、シテ・ユニヴェルシテール駅

メトロ4号線：ラスパイユ駅、ムートン＝デュヴェルネ駅

メトロ6号線：ラスパイユ駅、サン＝ジャック駅

この駅は、歴史と現代が融合した、パリを代表する交通拠点のひとつといえるでしょう。

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