ダークファイバ

ダークファイバ（Dark fiber）とは

ダークファイバとは、電気通信事業者や鉄道事業者などが敷設した光ファイバー回線のうち、現在使用されていない回線のことを指します。対義語として、実際に通信に使用されている「ライトファイバ（Light Fiber）」があります。

概要

光ファイバーケーブルの敷設には、許認可の取得や高額な費用、そして長い時間を要します。そのため、回線を保有する事業者は将来的な需要を見込み、当面の需要を上回る大きな容量を確保することがあります。その結果、一時的に未使用状態となるケーブルがダークファイバとなります。

ダークファイバの利用形態には、以下のようなものがあります。

芯線貸し：光ファイバーの芯線単位で他社に貸し出す形態
帯域貸し：IPパケット[[通信]]などの帯域を貸し出す形態
波長貸し：波長分割多重（WDM）技術を用いて特定の波長を貸し出す形態

ダークファイバの歴史

ダークファイバの利用は、通信業界の自由化と競争促進の歴史と深く関わっています。

1984年：日本国有鉄道（現JR）が鉄道電話網を転用して日本テレコムが市外通話事業に参入。建設省も高速道路沿いの光ファイバーを開放し、日本高速[[通信]]が誕生しました。
1986年：東京通信ネットワークは、ラストワンマイルと呼ばれる加入者回線を「国民全体の財産」として開放するよう主張しました。これは、通信インフラの開放を求める動きの先駆けとなりました。
e-Japan計画：総務省はe-Japan計画やe-Japan2002プログラムを通じて、大手通信事業者に余剰回線の開放を求めました。この時、開放された余剰芯線が「ダークファイバ」と呼ばれるようになりました。

国土交通省や鉄道事業者が敷設したダークファイバが開放されたことで、異なる事業者間の相互接続が促進され、広範囲なネットワークが構築されるようになりました。また、地方自治体が敷設した光通信ケーブルをCATV事業者に貸し出し、地域全体でネットワークを構築する例も出てきました。さらに、地域IX（インターネットエクスチェンジ）向けにダークファイバを整備する自治体も多く、芯線貸し、帯域貸し、無料貸与、接続などの取り組みが実施されました。

当初、郵政省はダークファイバについて「単なる設備貸し」とみなし、一般顧客への貸し出しを認めていませんでした。しかし、2001年にNTT東日本・西日本に対するダークファイバの開放義務付け制度が開始されたことにより、一般企業も電気通信事業者からダークファイバを借りて利用できるようになりました。例えば、ソニーネットワークコミュニケーションズのNURO光は、加入者宅までのアクセス回線にNTTのダークファイバを利用しています。

法律における義務付け

電気通信事業法では、電気通信回線設備を設置する事業者は、他の電気通信事業者から接続を求められた場合、原則としてこれに応じなければならないと定められています（電気通信事業法32条）。また、総務大臣が指定した重要な設備については、接続料や接続条件を定めた約款を作成し、認可を受けることが義務付けられています（同法33条）。

2001年4月6日には、総務省告示第243号によって、東日本電信電話株式会社（NTT東日本）と西日本電信電話株式会社（NTT西日本）の一定の設備が指定されました。2024年現在、これらの設備を設置する事業者は両社のみです。

注釈・出典

ドライカッパ：ダークファイバと類似する概念で、ツイストペアケーブル通信線路のうち、未使用の回線を指します。
光ファイバー網：ダークファイバが実際に敷設されているネットワーク。

外部リンク

* ダークファイバ情報のリンク方式によるウェブ上での情報公開 - 総務省

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