ドライカッパ

ドライカッパとは、電気通信事業者が敷設したツイストペアケーブル（メタルケーブル）の通信回線のうち、自社では使用せず予備として保有している回線のことを指します。

この名称は、送受信されるパケットを水道水、物理的な送受信ケーブルを水道管に見立て、使用されていない回線を「乾いた水道管」に例えた「ドライ（乾いた）カッパ（銅線, Copper）」という表現に由来します。

概要

ケーブルの敷設には多大な費用と時間を要するため、通信回線を提供する事業者は、将来的な需要を見越して、当初の需要を上回る数のケーブルを敷設することがあります。その結果、現時点では使用されずに余剰となっているケーブルがドライカッパとなります。

ドライカッパは、他の通信事業者に貸し出され、ADSLなどのデジタル加入者線や、直収電話の回線として利用されます。これらの回線接続は、主に主配線盤接続という方式で行われます。

伝送路および付帯設備の保守は、通信回線を保有する事業者が担当します。一方で、交換設備の保守は、その設備を所有する事業者が行うことになっています。しかし、交換設備との接続工事については、通信回線所有事業者が行うべきか、交換設備所有事業者が行うべきか、という議論があります。

他事業者への貸し出し義務

通信市場において大きな影響力を持つ「支配的事業者」が保有するドライカッパは、「指定電気通信設備」として指定されることがあります。これにより、支配的事業者は、他の通信事業者に対して、適切な価格でドライカッパを貸し出す義務を負うことになります。

日本では、NTT東日本およびNTT西日本が保有する加入者線が第一種指定電気通信設備に指定されており、社内取引価格での開放が義務付けられています。この制度は1999年に開始され、電話加入権の有無にかかわらず、すべての事業者が同じ料金でドライカッパを利用できるようになりました。

しかし、ドライカッパの存在は、光ファイバーケーブルへの移行を妨げる要因となるという意見もあります。また、平成電電が直収電話事業で期待されたほどの成果を上げられなかった背景には、NTTから平成電電への回線切り替え工事が煩雑であったという指摘もあります。

その他

ドライカッパは、使用されていない回線を有効活用する手段として重要な役割を果たしています。しかし、その貸し出し条件や光ケーブル化との関係など、課題も多く残されています。

脚注

注釈・出典

関連項目

* ダークファイバ（Dark fibre）：電気通信事業者や鉄道事業者などが敷設した光ファイバーのうち、未使用の回線を指します。

外部リンク

もう一度検索