ダービー物語

ダービー物語

『ダービー物語』は、1993年に平和が開発・発売した、競馬をモチーフとしたデジパチです。『麻雀物語』に続く物語シリーズとして登場しました。本機は、保留玉連荘タイプという特徴を持っており、当時のパチンコファンから注目を集めました。

ゲームの特徴

『ダービー物語』は、以下のような特徴を持っていました。

大当たり確率：235分の1
出玉：約2,300個
リーチ演出：従来の機種とは異なり、即大当たり停止のリーチパターンが存在
絵柄の偏り：非連続回転中に入賞した場合、特定の絵柄が選択される割合が高く、リーチ絵柄によって期待度が変化

このゲーム性は、後に発売された『CR黄門ちゃま2』にも影響を与えました。

ダービー物語事件

『ダービー物語』は、その連荘性を利用した不正改造が発覚し、社会問題となりました。1993年当時、現金機では、大当たり終了後の保留メモリーを書き換えて意図的に大当たりを出す機種が登場しており、ダービー物語もその一つでした。

具体的には、大当たり中にVゾーンに5つ以上連続で入賞すると、台枠が激しく光る演出が発生し、3つ目と4つ目の保留玉値を、16通りある書き換えテーブルから1/16の確率で大当たりカウンタ値に書き換える仕組みが組み込まれていました。これにより、保留玉での連荘が発生したのです。

この不正行為は、Vゾーンへの入賞が容易になるよう、釘調整を極端に行うことで行われていました。この連荘を誘発する意図的な釘曲げが問題視され、1993年10月19日に埼玉県警と大宮署が平和本社や工場を家宅捜索し、埼玉県内の『ダービー物語』約200台を押収しました。さらに、平和社員とパチンコ店店長が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の疑いで逮捕されました。

捜査は拡大し、平和の埼玉営業所や宮城、北海道、静岡のホールにも及びました。その結果、5人が逮捕され、警察は検定時には連荘しないプログラムで通過させた後、連荘を誘発する不正プログラムを仕込んだと発表しました。一部報道では、メーカー主導の違法改造機で本社が関与していたと報じられました。

この事件は、現金機によるデジパチ機の連荘が禁止される契機となり、確率変動が認められているCR機デジパチの導入を加速させました。しかし、今度はCR機の過剰な連荘性が問題視されることになりました。

その後の影響

本機の後に平和から発売された『プリンセス物語』においても、Vゾーンへの入賞が特定の条件を満たすことで、内部モードが変化し、連荘を発生させるシステムが搭載されていましたが、こちらは摘発されることはありませんでした。

ダービー物語事件は、パチンコ業界における不正行為に対する警鐘となり、その後の業界の健全化に大きな影響を与えました。

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