チェファル

チェファル（Cefalù）は、イタリア・シチリア州パレルモ県に属する、ティレニア海に面した人口約1万4千人のコムーネです。古代ギリシャ人の植民都市としてその歴史をスタートさせました。

名称の変遷

古代ギリシャ時代には、ディオドロスとストラボンが「Κεφαλοίδιον」、プトレマイオスが「Κεφαλοιδὶς」と記録しました。ラテン語ではプリニウスが「Cephaloedium」または「Cephaloedis」と記しています。日本語では「チェファルー」とも表記されます。

地理

チェファルは、パレルモ県都から東へ約58kmの場所に位置しています。周辺にはカステルブオーノ、グラッテーリ、イズネッロ、ラスカリ、ポッリナといったコムーネが隣接しています。

歴史

チェファルの起源は、海に突き出した険しい突端（Κεφαλὴ）に位置する地形に由来すると考えられています。初期にはヒメラというギリシャ植民地に従属していた可能性があります。歴史に初めて登場するのは、紀元前396年にカルタゴ人航海者イミルコが、チェファル住民とヒメラ住民の間で条約を締結した記録です。その後、シラクサの僭主ディオニシウス1世の支配を経て、一時的に自主権を取り戻しますが、紀元前307年にはシラクサのアガトクレスによって攻撃を受け、再び支配下に置かれました。

第一次ポエニ戦争では、紀元前254年にローマ艦隊によって征服されましたが、住民の反乱によるものではなく、戦力によって支配されました。ローマ時代には繁栄し、ムニキピウム（自治都市）として発展しました。

東ローマ帝国時代には、定住地が平地から現在の断崖へと移されました。858年にはアラブ人によって征服され、ガフルディ（Gafludi）と改名され、シチリア太守国の一部となります。1063年にノルマン人がチェファルを奪還し、1131年にはシチリア王ルッジェーロ2世が町を現在の位置に移しました。また、この時期にチェファル大聖堂の建設が開始されました。13世紀から1451年の間には、複数の封建領主の支配を受け、その後はチェファル司教の所有となりました。

リソルジメント（イタリア統一運動）期には、愛国者サルヴァトーレ・スピヌッツァが1857年にチェファルで射殺され、1861年にチェファルはイタリア王国に統合されました。

文化・観光

チェファルは、「イタリアの最も美しい村」クラブに加盟しており、美しい景色と歴史的な建造物で知られています。特に、ノルマン様式の大聖堂は有名で、多くの観光客が訪れます。

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