チェルニフフ県

チェルニフフ県：ポーランド・リトアニア共和国における短命な県

チェルニフフ県は、1635年から1667年までの短い期間、ポーランド・リトアニア共和国に存在した県です。県都はチェルニフフに置かれていました。この県は、17世紀初頭の激動の時代に、領土の変遷と政治的駆け引きの中で生まれ、そして消滅しました。

成立の背景

チェルニフフ県が成立した背景には、1618年に締結されたデウリノの和約があります。この和約により、旧チェルニゴフ公国領とセヴェルシチナ地方がロシア・ツァーリ国からポーランド・リトアニア共和国へと割譲されました。これらの地域を基盤として、チェルニフフ県が設置されたのです。

県の構造と機能

チェルニフフ県には、県議会（セイミク）が置かれ、チェルニフフで開かれていました。県はさらに、チェルニフフ郡とノヴォグルド郡の2つの郡（ポヴィャト）に区分され、それぞれの地域を統治していました。

ヘーチマン国家との関係

17世紀半ばに起きたフメリニツキーの乱とその後のズボロフ条約により、チェルニフフ県は一時的にヘーチマン国家の管轄下に置かれました。しかし、この状態は長くは続きませんでした。

消滅

1667年のアンドルソヴォ条約により、チェルニフフ県の領域は、ロシア・ツァーリ国が庇護するヘーチマン国の領土として承認されました。ヘーチマン国は、この地域をチェルニーヒウ連隊へと改組し、チェルニフフ県はその歴史に幕を閉じたのです。

チェルニフフ県は、その短い存在期間の中で、ポーランド・リトアニア共和国、ロシア・ツァーリ国、そしてヘーチマン国家という、当時の東ヨーロッパにおける主要な勢力の狭間で翻弄されました。その盛衰は、この地域の複雑な政治情勢を象徴していると言えるでしょう。

参考文献
Кулаковський П. М. Чернігівське воєводство // Енциклопедія історії України : у 10 т. / редкол.: В. А. Смолій (голова) та ін. ; Інститут історії України НАН України. — К. : Наук. думка, 2013. — Т. 10 : Т — Я. С. 519.
Малий словник історії України / відпов. ред. В. А. Смолій. — К. : Либідь, 1997.
Gloger Z. Województwo Czernihowskie // Geografia historyczna ziem dawnej Polski. — Kraków, 1903.
Herbarz polski Kaspra Niesieckiego S.J. — T. I. — S. 229—231.

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