チゴユリ属

チゴユリ属 (Disporum)

チゴユリ属は、イヌサフラン科に属する植物のグループで、以前はユリ科に分類されていました。学名は Disporum と表記され、日本においては「稚児百合属」という漢字があてられます。

特徴

チゴユリ属の植物は多年草であり、根出葉を持たず、茎に葉が互い違いにつくのが特徴です。茎は一本立ちするものもあれば、多少分枝するものもあります。花は、茎または枝の先端に1〜数個、横向きまたは下向きに咲きます。花被片は6枚で、それぞれが離れており、基部が膨らんでいる種類も存在します。雄蕊は6本あり、葯は長楕円形で、その半分ほどが外側を向いています。子房は上位で3室に分かれており、通常、各室に2個の胚珠があります。果実は液果で、球状で黒色に熟します。

分布と種

チゴユリ属は、ヒマラヤ、インド、東アジア地域に約20種が分布しており、日本には4種と自然交雑種が確認されています。かつてはチゴユリ属に含まれていた北アメリカに分布する5〜6種は、現在ではプロサルテス属 Prosartes として区別されています。

日本の種

キバナチゴユリ Disporum lutescens (Maxim.) Koidz.：和歌山県、四国、九州の一部に分布
ホウチャクソウ Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.：日本、朝鮮、中国、樺太に分布
チゴユリ Disporum smilacinum A.Gray：日本、朝鮮、中国に分布
オオチゴユリ Disporum viridescens (Maxim.) Nakai：北海道、本州の北部・関東地方・中部地方、朝鮮、中国東北部、ウスリーに分布
ホウチャクチゴユリ Disporum × hishiyamanum K.Suzuki：ホウチャクソウとチゴユリの自然交雑種

外国の種

Disporum acuminatissimum W.L.Sha：中国江西省
Disporum acuminatum C.H.Wright：ミャンマー北部
Disporum bodinieri (H.Lév. & Vaniot) F.T.Wang & Tang：チベットから中国南部、海南省
Disporum calcaratum D.Don：ネパールから中国雲南省南部
Disporum cantoniense (Lour.) Merr. (トウチクラン)：ヒマラヤから中国南部、マレーシア
Disporum hainanense Merr.：中国広東省南部、海南省
Disporum jinfoshanense X.Z.Li, D.M.Zhang & D.Y.Hong：中国重慶
Disporum kawakamii Hayata：台湾
Disporum leucanthum H.Hara：ヒマラヤ東部から中国南部
Disporum longistylum (H.Lév. & Vaniot) H.Hara：中国中央部からチベット
Disporum megalanthum F.T.Wang & Tang：中国中央部
Disporum nantouense S.S.Ying：台湾中央部
Disporum shimadae Hayata：台湾北部
Disporum tonkinense Koyama：ベトナム北部
Disporum trabeculatum Gagnep.：中国南部からベトナム
Disporum uniflorum Baker (キバナホウチャクソウ)：中国から朝鮮

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本I単子葉類』、1982年、平凡社
門田裕一監修、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
* Disporum -The Plant List

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