チチェスター・パーキンソン＝フォーテスキュー (初代カーリングフォード男爵)

チチェスター・サミュエル・パーキンソン＝フォーテスキュー

チチェスター・サミュエル・パーキンソン＝フォーテスキュー（Chichester Samuel Parkinson-Fortescue, 1823年1月18日 - 1898年1月30日）は、ヴィクトリア朝期にイギリス政界で重きをなした、アイルランド出身の政治家であり貴族です。初代カーリングフォード男爵、そして後に第2代クラーモント男爵として知られています。自由党の一員として主要な閣僚ポストを歴任し、特にアイルランドに関する政策や鉄道の安全性向上に尽力しました。

生い立ちと教育

1823年1月18日、チチェスター・パーキンソン＝フォーテスキューは、ラウス県グリドで、チチェスター・フォーテスキュー中佐の次男として生を受けました。母親は法廷弁護士サミュエル・ホブハウスの娘、マーサです。彼は名門オックスフォード大学クライスト・チャーチに進学し、学びを深めました。1845年にはバチェラー・オブ・アーツ（BA）の学位を取得し、さらに2年後の1847年にはマスター・オブ・アーツ（MA）の学位を得ています。この教育背景が、その後の彼の政治キャリアの基礎となりました。

庶民院議員として

大学卒業後、パーキンソン＝フォーテスキューは政治の道を志します。1847年から1874年にかけて、彼は郷里であるアイルランドのカウンティ・ラウス選挙区から自由党の代表として選出され、庶民院議員を務めました。議会での活動は早くから注目を集め、1848年の処女演説では、当時存在したユダヤ人に対する差別的な取り扱いを撤廃することを強く訴えました。これは、彼の政治家としての初期における人権や平等を重視する姿勢を示す出来事でした。

閣僚歴

彼の政治手腕は高く評価され、自由党政権下でいくつかの重要な閣僚ポストに就任します。第1次パーマストン子爵内閣期（1857年 - 1858年）および第2次パーマストン子爵内閣期（1859年 - 1865年）には、副植民地大臣として植民地政策に関与しました。この間、1863年には姓をパーキンソン＝フォーテスキューに変更しています。

その後、第2次ラッセル伯爵内閣期（1865年11月 - 1866年7月）および第1次グラッドストン内閣期（1868年12月 - 1871年1月）においては、アイルランド担当大臣という、アイルランド出身者である彼にとって特に重要なポストに就きました。この任期中、彼は1869年のアイルランド教会法の制定を主導するなど、アイルランドの内政改革に深く関わりました。1871年1月からは商務庁長官に転じ、特に鉄道の安全性強化に尽力しました。これは、産業革命が進む中で増大していた鉄道事故への対応として重要な取り組みでした。

貴族院へ

長年にわたり庶民院議員を務めた彼でしたが、多くのアイルランド選出議員と同様に、1874年1月から2月にかけて行われた総選挙で議席を失いました。しかし、この落選と時を同じくして、彼はカーリングフォード男爵に叙せられ、連合王国貴族として貴族院議員となりました。これにより、彼は議会での活動の場を庶民院から貴族院へと移すことになります。

貴族院移籍後も彼の政治キャリアは続きます。第2次グラッドストン内閣期（1881年5月 - 1885年6月）には王璽尚書を務め、1883年3月からは枢密院議長も兼務するなど、政府の中心的な役割を担いました。

アイルランド自治と党派変更

彼のキャリアの晩年において、アイルランド自治問題はイギリス政界の最大の焦点となりました。1886年1月に第3次グラッドストン内閣が成立した際、彼は海外に滞在しており、また、内閣が推進しようとしていたアイルランド自治法案に強く反対する立場を取っていました。このため、彼はグラッドストン内閣への入閣を求められることはありませんでした。アイルランド自治への反対という信念を貫き、彼は自由党を離れて自由統一党へと移籍します。自由統一党はアイルランド自治法案に反対する自由党内の勢力が中心となって結成された党であり、彼はその党におけるサマセット地方の指導者となりました。

晩年と栄典

1887年7月29日には、兄である初代クラーモント男爵トマス・フォーテスキューが死去したことにより、彼はクラーモント男爵位を継承しました。

チチェスター・サミュエル・パーキンソン＝フォーテスキューは、1898年1月30日、フランスのマルセイユ滞在中にインフルエンザが原因で死去しました。

彼の生涯で得た主な栄典は以下の通りです。

爵位
初代カーリングフォード男爵（1874年2月28日、連合王国貴族）
第2代クラーモント男爵（1887年7月29日、アイルランド貴族、1852年創設）
勲章
聖パトリック勲章士（KP）
名誉職
枢密顧問官（PC、1864年4月7日）
アイルランド枢密顧問官（PC(Ire)、1866年1月13日）

彼は、激動するヴィクトリア朝後期のイギリスにおいて、特にアイルランド問題と深く関わりながら、要職を歴任した重要な政治家の一人として記憶されています。

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