チャイナタウン (マンハッタン)

ニューヨークの中華街（チャイナタウン）

ニューヨーク市マンハッタン区に位置するチャイナタウンは、北米最大規模の中華街として知られています。シヴィック・センターの北、リトルイタリーの南、トライベッカの東、ロウアー・イースト・サイドの西に位置し、西半球における中国人移民人口の最大の集積地となっています。中国系移民が経営する商店が軒を連ね、漢字の看板が目に飛び込んでくる活気あるエリアです。近年では、リトルイタリーの南方地域にまで拡大を続けています。

歴史

チャイナタウンは、北米における中国人居住地の中でも最も古い歴史を持つ場所の一つです。主に広東語や閩語を母語とする人々が多く居住していますが、近年では官話を話す人々の増加も見られます。アジア以外の地域にあるチャイナタウンとしては最大の人口規模を誇り、その数は約735,000人に達します。

チャイナタウンの東側エリアは、近年福建省からの移民が流入し、新たなコミュニティを形成しています。この地域は「小福州」と呼ばれ、チャイナタウンの一部として認識されています。

ニューヨークには、他にもクイーンズ区、ブルックリン区、ナッソー郡、ロングアイランド、ニュージャージー州エジソンなどにチャイナタウンが存在します。

ファイブ・ポインツからチャイナタウンへ

かつてこの地区には、20ヘクタールほどの池がありましたが、1811年に埋め立てられ、道路が整備されました。その結果、「五差路」と呼ばれる交差点ができ、この一帯は「ファイブ・ポインツ」と呼ばれるようになりました。地盤が軟弱で水はけが悪かったため、低家賃の住宅地として、主に貧しい移民たちが暮らすようになりました。当初は、黒人やアイルランド人、東欧出身のユダヤ人などが居住していました。

1812年には、ファイブ・ポインツの南にニューヨーク市庁舎が完成し、裁判所や警察署、保健所などの行政機関が次々と建設され、「シヴィック・センター」と呼ばれる官庁街が形成されました。これらの役所に勤務する職員を目当てに、次第に商店が集まり始めました。1850年代には、イタリア移民が住み着き、リトルイタリーが形成されていきました。

1858年、広東省出身のアー・ケンという人物が、市庁舎の柵の外で葉巻を販売し始めたのが、マンハッタンにおけるチャイナタウンの始まりとされています。1870年には、中国人居住者の数は約200人となり、1882年には約2000人にまで増加しました。当時の中華街は、広東省出身者がその大半を占めていました。

スラムからの脱却

かつては、貧困層向けの低家賃住宅が建ち並び、ニューヨークを代表するスラム街として認識されていました。これらの建物は、内部に間仕切り壁を設けて部屋を細分化した違法建築でした。市当局は、建物の取り締まりを強化するとともに、良質な公共住宅の建設を推進し、生活環境の改善に取り組みました。1975年に完成した「孔子プラザ」は、その代表的な例です。現在では、「ファイブ・ポインツ」という地名は使われなくなり、チャイナタウンまたはリトルイタリーという呼び名が定着しています。

位置

Business Improvement Districtによって地区の境界の目安が示されていますが、チャイナタウンの公式な境界は定義されていません。一般的には、以下の範囲がチャイナタウンと認識されています。

北端：ブルーム・ストリート（リトルイタリーとの境界が曖昧になりつつある）
南端：チェンバーズ・ストリート
東端：イースト・ブロードウェイ
西端：ブロードウェイ

チャイナタウンの通りには、中国語表記も見られます。

関連項目

フラッシング
北米のチャイナタウン

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