チャオプラヤー級フリゲート

チャオプラヤー級フリゲートの概要

チャオプラヤー級フリゲートは、タイ王国海軍に属する艦級で、中国人民解放軍海軍の江滬型フリゲートに準じた設計がなされています。具体的には、前半の2隻が053HT型、後半の2隻が053HT(H)型となっています。この艦級の導入は、タイの安全保障上の戦略に大いに寄与しています。

歴史的背景

第二次世界大戦後、タイでは内外からの脅威が存在しました。内的には武装共産主義運動、外的にはベトナムやカンボジアからの軍事的脅威がありました。そのため、タイ軍の中でも海軍の優先度は低く、予算も陸軍や空軍に比べて限られていました。しかし1980年代に入ると、国内の共産主義運動が収束し、海洋権益の重要性が増す中、海軍の強化が求められるようになりました。

当時のタイ政府は、中国との友好関係を重視し、軍事装備の整備にあたり、中国製の艦艇を発注する決定を下します。その結果、1988年にチャオプラヤー級フリゲートの建造が始まりました。

設計と性能

チャオプラヤー級の基本設計は053HT型を基にしており、船体の中央に配置された船楼型が特徴的です。しかし、船体構造は比較的脆弱であるため、ダメージコントロール能力には課題があります。搭載されている主機関はMTU 20V1163 TB83型のディーゼルエンジンが4基使用され、船は2軸のスクリュープロペラで駆動されます。これにより、最高速度は28ノット程度とされています。

装備内容

本艦の装備については、当初、中国製の船体に西欧製の装備を検討しましたが、結局053H2型に準じた装備となりました。戦術情報処理装置や艦砲については、過去の技術に依存しているため、就役時点ですでに古いものでした。艦首と艦尾には100mmの連装砲が配されており、対空用の37mm連装機銃も搭載されています。

対艦能力としては、C-801艦対艦ミサイルの4連装発射筒が2基装備されており、後にC-802へと改修されていきます。053HT(H)型では、後部の砲塔が撤去され、代わりにヘリコプター甲板が設置され、UH-1ヘリコプターの運用が可能となります。

運用歴

チャオプラヤー級フリゲートは、着任後すぐに改修が行われ、ダメージコントロール能力の向上が図られました。1990年代には技術が時代遅れとなるも、そのコスト面から高評価を得ることとなりました。主に海上警備任務に従事し、タイ王国水上警察への配属も行われています。

特に、「クラブリ」は2004年のスマトラ島沖地震による津波で大破しましたが、その後も現役に復帰しています。これらの背景から、チャオプラヤー級フリゲートはタイにおける重要な海洋防衛の一端を担っていると言えるでしょう。

結論

チャオプラヤー級フリゲートは、タイ王国海軍において重要な役割を果たしており、中国の設計思想をベースにした艦艇として独自の運用を行っています。その歴史と装備の変遷を知ることで、タイにおける海軍の変化と地域安全保障の重要性を理解することができます。

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