チャック装置

チャック装置とは

チャック装置は、主に工作機械において、加工対象物であるワークを固定するために使用される工具です。ワークをチャック装置で固定する作業は「チャッキング」と呼ばれます。また、ボール盤にドリルを取り付けるなど、切削工具を固定する用途にも用いられます。

チャックの原理としては、万力のような機械的な要素を使用するものが一般的ですが、接着剤、氷、磁力、静電気、負圧などを利用する特殊なタイプも存在します。一般的に「チャック」という言葉は、旋盤で使用される円形のチャックを指すことが多いです。

チャックの種類

チャックには、ワークの固定方法や用途に応じて様々な種類があります。

メカニカルチャック

機械的な力でワークを固定するチャックの総称です。ワークは、チャック本体に取り付けられた爪（ジョー）またはコレットによって締め付けられます。爪はワークとの接触面積が比較的小さいのに対し、コレットは広い面積でワークを保持します。

スクロールチャック: 渦巻き状の溝を持つカムが内蔵されており、ハンドルを回転させるだけで全ての爪が同時に開閉する構造です。円筒形のワークを固定する際に、チャックと同心円を出すのが容易です。主に3爪または2爪のタイプがあります。
インデペンデントチャック: 各爪が独立して動作するチャックです。円筒形ではない複雑な形状のワークでも、任意の点をチャックの中心に設定して固定できます。一般的に4爪のタイプがあります。
ドリルチャック: ドリルをボール盤などの工作機械に固定するためのチャックです。主に直径13mmまでのストレートドリルに使用されます。
コレットチャック: ワークの形状に合わせて穴を加工した筒状の部品（コレット）を使用します。コレットにワークを挿入し、外側からテーパーなどを利用して締め付けることで固定します。爪に比べてワークに加わる圧力が小さいため、より強力な固定が可能です。エンドミルなどの切削工具を固定するツーリングにも使用され、エンドミルのシャンクに合わせた専用のコレットが用いられます。

マグネットチャック

磁性材料でできたワークを磁力で吸着して固定するチャックです。永久磁石を使用するもの、電磁石を使用するもの、または両方を組み合わせたハイブリッドタイプがあります。

真空チャック

ワークを真空吸着によって固定するチャックです。主に軽量な物、変形しやすい物、または小型のワークを固定する場合に使用されます。真空ピンセットも同様の原理を利用しています。

類似する言葉

衣服や鞄などに使用される線ファスナー（ジッパー）を指す「チャック」という言葉がありますが、これは巾着（きんちゃく）が語源であり、チャック装置とは全く異なるものです。

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