チャールズ・ハーディング (初代ハーディング・オブ・ペンズハースト男爵)

初代ペンズハーストのハーディング男爵チャールズ・ハーディング

チャールズ・ハーディング（1858年6月20日 - 1944年8月2日）は、イギリスの外交官、政治家、貴族であり、1910年から1916年までインド総督を務めました。彼の統治時代は、インドにおける宥和的な政策と重要な歴史的イベントで特徴づけられています。

経歴

ハーディングはイギリスの保守党に属し、第2代ハーディング子爵とその妻ラヴィニアの次男として誕生しました。彼の祖父もまたインド総督を務めた実績があります。ハーロー校で学んだ後、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに進学し、1880年には外交官としてのキャリアをスタートさせました。彼の早い段階からの外交経験には、駐ロシア大使館での活躍や、国王エドワード7世の欧州訪問への同行が含まれます。

1906年から1910年の間、ハーディングは外務省事務次官に就任し、この期間中にエドワード7世やエドワード・グレイ外相から的確な信任を受けていました。このような経歴が、彼がインド総督に任命される際の基盤を築いたと言えるでしょう。

インド総督としての業績

1910年11月、ハーディングはインド副王兼総督として就任しました。彼の統治スタイルは、インド・ナショナリズムへの宥和的なアプローチを採用し、前任者による厳しい政策からの転換を図りました。特にカーズン卿のベンガル分割を中止し、教育や国内政治への資源の再配分を進めました。これにより、アリーガル・ムスリム大学やバナーラス・ヒンズー大学の設立が実現しました。

さらに、彼はカルカッタからデリーへと首都を遷移させる決断を下しました。これは、インド社会が抱える政治的な変化を反映したものであり、シムラーへの近さに加え、政府に対する反対勢力の拠点からの移動という狙いも含まれていました。

ハーディングは1911年に英王ジョージ5世を招いたダルバールを開催し、これが英国王による最初で最後のインド訪問となりました。しかし、彼の統治下においてもテロリズムの脅威が存在し、1912年には爆弾テロに見舞われるという過酷な試練に遭遇しました。この際、彼は妻を失う深い悲しみを抱えつつも、報復を取ることなく、インド・ナショナリズムとの対話の強化を目指しました。

統治の終焉とその後

第一次世界大戦が勃発した結果、彼の任期は延長されました。戦争初期にはヒンドゥー教徒は協力的でしたが、ムスリムの中には不満が高まり、特に彼が制定したインド防衛法に対する反発が強まりました。このため、彼は厳しい措置を採ることで治安を維持しようとしました。

1916年に帰国した後、ハーディングは外務省での地位を再び確保しました。大戦の影響で家族に悲劇が訪れたものの、最終的に彼は1944年に亡くなるまで、長い公務人生を全うしました。爵位は次男が継承し、ハーディング家の影響は続くことになります。

栄典

ハーディングは幾つかの爵位や勲章を受けており、特に1910年にはケント州ペンズハーストの初代ハーディング男爵に叙されました。彼の勲章は、バス勲章やロイヤル・ヴィクトリア勲章など多岐にわたり、国際的な評価を受けた名誉あるものでした。特に聖マイケル・聖ジョージ勲章のナイト・グランド・クロスなど、その地位を示すものが多く存在します。

このように、チャールズ・ハーディングはイギリスの外交において重要な役割を果たした人物であり、彼の功績は今日に至るまで評価されています。

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