チョウセンゴミシ

チョウセンゴミシの概要

チョウセンゴミシ（Schisandra chinensis）は、マツブサ科に属する落葉性のつる性木本です。この植物の特徴は、雌株と雄株が別々の個体で存在すること（雌雄異株）です。毎年5月から7月の間に黄白色の花を咲かせ、秋には赤い果実が実を結びます。この果実は五味子（ごみし）と呼ばれ、滋養強壮や鎮咳に用いられているため、特に注目されています。

名称の由来

「五味子」という名称は、この果実が持つ五つの異なる味、つまり甘味、酸味、辛み、苦味、鹹味（塩味）に由来します。江戸時代には朝鮮半島から輸入されていたため、この名がついたものとされています。もともと日本には自生していないとされていましたが、平賀源内が薬用植物を栽培する際に輸入された種子から育てたことで、日本にも自生が確認されました。この植物は古くから民間薬としても利用されてきたようです。

植物の特徴

チョウセンゴミシはつる性の植物で、つるは左巻きに成長します。葉は互生し、長枝にはまばら、短枝には集中してつきます。葉の形は倒卵形から楕円形で、長さは4から10センチメートル、幅は2から6センチメートルです。葉の先端は尖り、基部は広く、葉縁には波状の鋸歯が存在します。葉の表面は無毛で黄緑色、一方裏面は淡い緑色で葉脈には毛があります。冬芽は長卵形で、長さは3から6ミリメートルです。

花は短枝から伸びた花柄の先に付き、芳香があり、直径は約1センチメートルです。雄花は4から7個の雄しべを持ち、雌花は多くの雌しべを備えています。訪花者には甲虫やハナバチなどの昆虫が報告されています。

生育環境

チョウセンゴミシは、北東アジア、特に日本、朝鮮半島、中国北部、シベリア東部などに広く分布しています。冷温帯の落葉広葉樹林の林縁で自生し、その成長には片側的な日照が必要です。

人間との関わり

五味子は生食やジュース、または五味子茶や五味子酒として広く利用されています。日本薬局方にも生薬として登録され、虫歯気を抑え、体力を向上させる効果があります。成分としてシトラールやシュウ酸、リグナン類が含まれており、たくさんの漢方方剤にも配合されています。さらに、長野県の一部地域では、健康促進を目的としてチョウセンゴミシのつるを浴槽に入れて利用する文化も存在します。

このように、チョウセンゴミシは自然に存在しているだけでなく、様々な用途を持っています。健康に良い成分が含まれているため、今後もその重要性が注目される植物です。

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