チョ・オユー

チョ・オユー（標高8201m）は、ヒマラヤ山脈に位置し、ネパールと中国チベット自治区にまたがる山です。世界で6番目に高い山であり、「トルコ石の女神」を意味するシェルパ語に由来する名前を持ちます。この山は、8000m峰の中でも比較的登りやすいとされ、多くの登山隊が挑む山として知られています。

概要

チョ・オユーは、エベレストの前哨戦として選ばれることが多く、特にノーマルルート（北西稜）は他の8000m峰に比べて登りやすいとされています。しかし、南西壁は標高差2000mにも及ぶ大岩壁で、高度な技術を持つ登山家のみが挑戦するルートです。山頂付近は広く、最高地点が明確でないため、エベレストとローツェを背景に写真撮影することで登頂の証とするのが一般的です。

初登頂は1954年で、エベレスト初登頂の翌年でした。当時の登山隊は、隊員3名、シェルパ7名、総重量1トンの装備という少人数・軽装備で挑み、秋に初登頂を成し遂げました。これは、他の8000m峰と比較して特筆すべき点です。

登頂史

1954年の初登頂は、ネパールのナンパ・ラを経由してチベットに不法入国する形で行われました。当時、ナンパ・ラを越える通商は黙認されていましたが、無許可登山が繰り返されました。中国が正式に登山許可を出し、規制を強化したのは1987年になってからです。ネパールも1981年までチョ・オユーの登山を禁止しており、解禁後は登山者が急増しました。2012年3月時点で、延べ3138人が登頂しており、8000m峰の中ではエベレストに次いで2番目に多い登頂者数となっています。

以下にチョ・オユーの主な登頂記録を記します。

1954年10月19日：J.ヨヒラー、パサン・ダワ・ラマ、H.ティッヒーが初登頂（無酸素）。
1978年：エドゥアルト・コプルミュラーとアイロス・フルトナーが南東壁をアルパインスタイルで初登頂（無許可登山）。
1983年：ラインホルト・メスナーら3人が西稜をアルパインスタイルで登頂。
1985年2月12日：マチェイ・ベルベカ、マチェイ・パフリコスキが冬季初登頂。
1988年2月6日：フェルナンド・ガリドが冬季単独初登頂。
1987年9月21日：高橋和之が山頂からパラグライダーで下山（当時、高度記録）。
1990年：ヴォイテク・クルティカ、ジャン・トロワイエ、エアハルト・ロレタンが南西壁をアルパインスタイルで1日で登頂。
1993年2月10日：マリアンヌ・シャピュイザが冬季女性初登頂。
1994年：カルロス・カルソリオがベースキャンプから18時間45分の最速登頂記録を達成。
1994年9月22日：山野井泰史が南西壁単独初登頂。
1994年9月24日：長尾妙子、遠藤由加が南西壁を無酸素登頂。
2004年9月27日：マーク・イングリスが両足義足で登頂。
* 2006年10月2日：パヴレ・コジェックが南西壁新ルートを単独登頂。ナンパ・ラ銃撃事件を目撃し、その証拠写真を公開。

チョ・オユーは、登山家にとって挑戦のしがいのある山であり、その歴史には多くのドラマと偉業が刻まれています。

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