チリ国鉄

チリ国鉄（EFE）

チリ国鉄は、スペイン語で「Empresa de los Ferrocarriles del Estado」と称される国有鉄道であり、チリ国内の鉄道インフラを運営しています。主に広軌（1,676 mm）とメーターゲージ（1,000 mm）を用いた路線網が特徴です。

歴史

チリの鉄道の歴史は1852年に始まります。この年、民間事業者が銀鉱山の町コピアポと港町カルデラを繋ぐ路線を開通させました。その後、1855年から1863年にかけては、サンティアゴとその外港であるバルパライソを結ぶ路線も開通しました。このように、初期の鉄道網は主に民間によって構築されていましたが、資金難に陥ったため、1873年にこれを政府が買収し、1884年には国有鉄道会社（EFE）が設立されました。

南部への鉄道網が1,676 mmの軌間で建設される一方で、北部では人口が少なく、資源は豊かでした。北部では主に鉱山貿易を支えるための鉄道が建設され、多様な軌間が存在していました。チリの鉄道は、急勾配を克服するために様々な工夫が求められました。特に、電化やディーゼル化が早い段階から検討され、インクラインの設置が行われました。

1879年から1884年には太平洋戦争があり、チリは勝利し、周辺国から領土を獲得しました。これにより北部における鉄道網の整備が急務となりましたが、議会での法律が成立するのは1908年までかかり、その後1913年にはイキケからプエルトモントまでの鉄道網が一応完成しました。

チリ国鉄はまた、隣国との鉄道をつなぐ計画も進めましたが、アンデス山脈の険しい地形が障害となりました。ペルーとの間にはタクナ-アリカ鉄道が、ボリビアとの間にはアントファガスタ-ボリビア鉄道があり、いずれも歴史的な経緯を持っています。さらにアルゼンチンとの間でも、バルパライソとブエノスアイレスを結ぶ横断鉄道が1910年に開通しました。

1927年には鉄道網が最も長い9,009 kmに達しましたが、1970年代以降は次第に縮小しました。政府が道路整備に注力し、鉄道への投資が減少したため、設備の老朽化が進みました。1980年代には中南部での収益性の低い路線の運行停止が続き、1990年1月1日には北部の国鉄路線が完全に民営化されました。

1992年には法改正が行われ、チリ国鉄には大きな経営権が与えられた後、1994年には子会社が民間に売却されました。この頃からは鉄道網の修復や近代化が進み、特に安全性と最高速度が改善され、都市近郊交通が増加しました。しかし、長距離旅客輸送は不採算とされ、夜行列車の運行は段階的に廃止されました。

安定した政治経済のもと、2005年には史上最大の投資プログラムが完了し、通勤網や長距離輸送の改善が進みました。現在のチリ国鉄は、様々な運行路線や子会社とともに、国の交通インフラの中核を担っています。

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