イキケ

イキケ：歴史と自然が織りなすチリの港町

イキケは、チリ北部のタラパカ州に位置する州都であり、太平洋に面した風光明媚な都市です。アンデス山脈を東に望むその景観は、訪れる人々を魅了します。イキケの歴史は古く、紀元前7000年以前から人類が居住していたことが確認されています。16世紀に西洋人によって発見されて以降、スペインの植民地時代を経て、19世紀末にはペルー領となりました。

硝石産業と太平洋戦争

19世紀末のイキケは、アタカマ砂漠で産出されるチリ硝石の主要な積み出し港として栄えました。この硝石を巡り、チリとペルー・ボリビアの間で1879年に太平洋戦争が勃発。イキケ沖では海戦も繰り広げられました。戦争の結果、イキケはチリ領となり、ペルー人はペルー領へと移動しました。

しかし、その後のイキケは平穏とは言えませんでした。1907年には、鉱山労働者と警察が衝突し、大規模な流血事件が発生しました。さらに、ハーバー・ボッシュ法の普及により天然のチリ硝石の生産は衰退し、1930年代をピークに、イキケから約40km離れた場所にあった工場群は、1960年代にはゴーストタウンと化しました。

世界遺産登録と観光都市への転換

しかし、2005年にこれらの廃工場群が世界遺産「ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群」として登録されたことで、イキケは観光都市として新たな注目を集めるようになりました。世界遺産を訪れる観光客の出発地として、その存在感を再び増しています。

地理と気候

イキケは、太平洋に面し、東にアンデス山脈を望む場所に位置しています。プレート境界に近いため、地震が多い地域としても知られており、「イキケ地震」などの大規模な地震も発生しています。気候は、沖合を流れるフンボルト海流の影響を強く受けており、低緯度でありながら夏でも比較的冷涼です。また、中緯度高圧帯の影響で降雨量が非常に少なく、砂漠気候に分類されます。

交通

イキケの南48kmには、ディエゴ・アラセナ国際空港があります。また、イキケ港はチリに2つある自由貿易港の一つであり、重要な役割を担っています。かつて鉄道の拠点駅であったイキケ駅は、現在は閉鎖されています。

スポーツ

イキケを本拠地とするサッカークラブには、デポルテス・イキケが挙げられます。このクラブは、1980年と2010年にコパ・チリで優勝した経験があります。

姉妹都市

イキケは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ザダル（クロアチア）
オルーロ（ボリビア）
アブダビ（アラブ首長国連邦）
マイアミ（アメリカ合衆国）
アシュケロン（イスラエル）
オッピド・ルカーノ（イタリア）
台州（中国）
基隆（台湾）
アスンシオン（パラグアイ）
アレキパ（ペルー）
タクナ（ペルー）

イキケ出身の著名人

エドソン・プッチ（サッカー選手）
アントニオ・プリエート（俳優）
ジョージ・ロブレド（サッカー選手）

イキケは、その歴史、地理、気候、そして文化が織りなす魅力的な都市です。かつての硝石産業の隆盛と、太平洋戦争、そして世界遺産登録と、激動の時代を乗り越え、現在は観光都市として新たな発展を遂げています。その美しい自然景観とともに、訪れる人々に忘れられない印象を与えるでしょう。

もう一度検索