チーム沖縄

チーム沖縄

「チーム沖縄」は、沖縄県内の市長によって構成される連合体で、その正式名称は「沖縄の振興を考える保守系市長の会」です。県内11市のうち、2015年の結成当初は那覇市と名護市を除く9市の市長で構成されました。

概要と設立経緯

この会は、2015年5月下旬に当時の宮古島市長であった下地敏彦氏の働きかけにより設立されました。発足の背景には、下地氏が離島の市長として、沖縄振興予算の行方に対する強い不安を抱き、市町村が十分な予算を確保しないと行政運営が成り立たないという危機感から、他の市長たちに連携を呼びかけたことがあります。多くの市長がこれに賛同し、「沖縄の振興を考える保守系市長の会」として那覇市内で記者会見を行い、下地氏が会長に就任したことを明らかにしました。

結成当初、那覇市長と名護市長がメンバーに含まれなかったことについて、下地氏は両氏が会の趣旨とする「保守系市長」ではないと判断したためであり、名護市辺野古への米軍基地移設問題に関する立場が理由ではないと説明しました。しかしその後、2022年10月の那覇市長選挙で、それまで「オール沖縄」勢力に属していた当時の城間幹子市長の後継として当選した知念覚市長が、チーム沖縄への加入を表明しました。

チーム沖縄は、2014年の沖縄県知事選挙で現職だった仲井眞弘多氏を支援した勢力を母体としていることから、当時の翁長雄志知事に対抗する反翁長勢力の結集として位置づけられています。県内の首長選挙では、主に自由民主党、公明党、日本維新の会、参政党などの保守・中道系政党からの推薦を受け、「オール沖縄」と呼ばれる革新・中道勢力と激しく対立する選挙戦を展開しています。

主な支援政党として、自由民主党、公明党、日本維新の会、参政党が挙げられます。

選挙における攻防の歴史

チーム沖縄の歩みは、設立以前からの沖縄県内の政治的な対立構造、特に保守勢力と「オール沖縄」勢力との間の攻防と密接に関わっています。2014年の知事選における保守分裂など複雑な状況を経て、チーム沖縄は保守勢力の一つの結集軸となりました。

会が発足して以降、県内の市長選挙、県議会議員選挙、国政選挙など様々な選挙において、「チーム沖縄」あるいはその支援を受ける候補と「オール沖縄」が支援する候補が対決する構図が定着しました。特に、普天間基地移設問題に代表される米軍基地問題が争点となる選挙では、両陣営の立場が明確に分かれます。

初期には、豊見城、宜野湾、糸満、宮古島、浦添、うるまなどの市長選でチーム沖縄側が勝利を重ね、那覇と名護を除く多くの市で保守系市長が市政を担う状況が続きました。2018年には南城市長選でオール沖縄側が勝利しましたが、その後の名護、石垣、沖縄の各市長選ではチーム沖縄側が勝利し、県内11市のうち9市を保守系市長が占める勢力図が強固になりました。しかし、同年の県知事選挙では、保守分裂も影響し、「オール沖縄」が支援する玉城デニー氏が勝利し、県政の主導権を握りました。

2021年の宮古島市長選では、チーム沖縄の会長を務めていた現職がオール沖縄候補に敗れる結果となりましたが、2022年の名護、南城、石垣、沖縄の各市長選ではチーム沖縄側候補が連勝を果たしました。特に那覇市長選では、「オール沖縄」陣営の現職市長が支援を翻してチーム沖縄側候補を支持するなど、保守勢力の結集が進み、チーム沖縄側が勝利を収めました。これにより、2022年の市長選でチーム沖縄側は7連勝となり、市町村レベルでの勢力を大きく拡大しました。

近年の選挙では、2024年の沖縄県議会議員選挙において、自民・公明両党が単独過半数を獲得し、「オール沖縄」勢力が議席を減らしました。また、同年と2025年に実施された宜野湾、宮古島、沖縄、浦添の各市長選挙でもチーム沖縄側候補が勝利を収め、2025年1月の宮古島市長選での現職敗北により、この時点で「オール沖縄」陣営に属する市長が一時的に不在となるなど、県内の政治状況はチーム沖縄側に有利に傾きつつあります。これらの選挙結果は、普天間基地の辺野古移設工事の進展や「オール沖縄」側の戦略の混乱などが影響したと指摘されています。

チーム沖縄は、沖縄県内の保守勢力や政権与党との連携を軸に、「オール沖縄」勢力と市政・県政の主導権を巡る選挙戦を繰り広げており、その動向は今後の沖縄政治を占う上で重要な要素となっています。

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