ツァスタバ M21

ツァスタバ M21：セルビア生まれの近代化アサルトライフル

ツァスタバ M21は、セルビアのツァスタバ・アームズ社が2004年に発表したアサルトライフルです。旧ユーゴスラビア時代からAK系ライフルの開発・製造を行ってきた同社が、長年の経験と技術を結集して開発しました。日本では「ツァスタバ」として知られていますが、セルビア語の発音は「ザスタヴァ」に近いとされています。

開発の背景

ツァスタバ・アームズ社は、旧ユーゴスラビア時代からAK-47をベースにした独自の改良型ライフルを多数開発してきました。しかし、基本的な形状や構造はAK-47から大きく変わることはありませんでした。そこで、AKの信頼性と操作性を維持しつつ、より現代的なアサルトライフルとして開発されたのがM21です。

特徴

M21は、AK-47の設計を受け継ぎながらも、以下の点で大きく進化しています。

使用弾薬の変更: 従来の7.62x39mm弾から、5.56x45mm NATO弾へ変更。これにより、反動が軽減され、射撃時のコントロールが向上しています。
銃身の耐久性向上: 銃身内側をクロムメッキ処理することで、腐食や摩耗に対する耐久性を高めています。
グレネードランチャー対応: ガスバイパス部分の照準器を廃止し、代わりにGP-25グレネードランチャーを装着可能な着剣ラグを設けています。
フラッシュハイダー: 銃口部分にフラッシュハイダーを追加し、発砲時の発炎を抑制しています。
照準器の改良: 照準器を後方へ移動し、照星をガスブロック、照門をレシーバーカバー上面に配置することで、より正確な照準を可能にしています。
レシーバーの強化: レシーバー上部のカバーをヒンジで固定し、剛性を高めています。
ハンドガードの変更: ハンドガードを従来の木製または金属製から、ポリマー製に変更。軽量化と耐久性向上に貢献しています。
ピカティニーレールの装備: レシーバー上部やハンドガード部分にピカティニーレールを装着可能。各種光学機器やアクセサリーの装着に対応しています。
銃床の改良: 銃床をポリマー製の右側面折り畳み式に統一。携行性と取り回しを向上させています。
セレクターレバーの追加: グリップを握ったまま右手親指で操作可能なセレクターレバーを追加。操作性の向上を図っています。

これらの改良により、M21はイスラエルのガリルやポーランドのwz. 96 ベリルといった、他の近代的なアサルトライフルと類似した特徴を備えるに至りました。

派生型

M21には、以下の派生型が存在します。

M21: 標準モデル
M21S: 銃身を短縮したカービンモデル。GP-25の装着が可能。
M21A: M21Sよりもさらに銃身を短縮した短機関銃モデル。GP-25の装着は不可能。

採用国

M21は、セルビア軍で制式小銃として採用されているほか、アルメニア、アゼルバイジャン、イラクなど、世界各国で採用されています。

セルビア - 制式小銃として25,000丁以上を導入
アルメニア
アゼルバイジャン
イラク
カメルーン
北マケドニア
スルプスカ共和国
パキスタン - 試験的に導入
ペルー
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ヨルダン
* レバノン

まとめ

ツァスタバ M21は、AK-47の基本構造を受け継ぎながらも、現代的なニーズに合わせて改良が加えられたアサルトライフルです。その高い信頼性と操作性、そして拡張性の高さから、世界各国の軍隊や法執行機関で採用されています。

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