ツキサップじんぎすかんクラブ

ツキサップじんぎすかんクラブ：札幌のジンギスカン名店

「ツキサップじんぎすかんクラブ」は、札幌市豊平区月寒東に位置するジンギスカン専門店です。店名にある「ツキサップ」は、この地の旧名である「月寒（つきさむ）」に由来します。

八紘学園の農場内で味わうジンギスカン

特筆すべきは、学校法人八紘学園の広大な敷地内（農場地）にあるという点です。ここでは、冷凍ではなく生の新鮮なマトン肉を使ったジンギスカンを、「月寒（札幌）式」と呼ばれるスタイルで堪能できます。焼いた後に特製のタレにつけて味わうのが特徴で、タレに漬け込んで焼く「滝川式」とは一線を画します。

こだわりの生マトン肉

この店の大きな特徴は、羊肉独特の風味を強く残した生のマトン肉を使用していることです。一般的に食べやすいラム肉は扱っていません。これは、八紘学園の創立者である栗林元二郎氏の意向によるもので、「本来の月寒式ジンギスカンを味わってほしい」という強い想いが込められています。

七輪炭火焼きへのこだわり

現代のジンギスカン店で主流のガスコンロではなく、七輪を使った炭火焼きで提供されます。そのため、ジンギスカン鍋も独自形状で、余分な油を落とすためにスリット状の穴が開けられています。炭火で焼くことで、羊肉の旨味が最大限に引き出され、食欲をそそる香りが立ち込めます。

地元と観光客に愛される名店

食事時には、観光バスで訪れる観光客やタクシードライバーで賑わいを見せます。地元客からの支持も厚く、北海道のメディアにも多数紹介されるほどの人気店です。屋外席も用意されており、春には桜、冬には雪景色を眺めながらジンギスカンを楽しめます。近年、テラス席が新設され、より快適に食事ができるようになりました。

月寒式ジンギスカンのルーツ

タレを後付けで食べるジンギスカンのルーツは、旧満州国や樺太で食されていた野戦料理にあると言われています。八紘学園の創設者である栗林元二郎氏が、旧満州から月寒地区に移住する際に、現地で使用していた鍋を持ち帰り、羊肉を調理して食べたのが始まりとされています。

月寒地区は、明治時代から綿羊・牧畜業が盛んな地域でした。第一次世界大戦後、綿羊の需要が減少し、食糧難の時代に突入。打開策として、飼育されていた綿羊を食肉用に転用し、ジンギスカン料理として提供したところ、大きな反響を呼びました。この成功が、「成吉思汗倶楽部」発足のきっかけとなります。この料理法は、後に月寒（札幌）式ジンギスカンとして知られるようになり、現在も北海道札幌圏以南・道南地方などで広く親しまれています。

当時、羊は羊毛を採取するための家畜であり、食用としての価値は低いものでした。ジンギスカンが普及したことで、羊肉を食べる文化が確立されたと言えるでしょう。

成吉思汗倶楽部の設立

栗林元二郎氏は、月寒（札幌）式ジンギスカンの普及を目指し、1953年に会員制クラブ「成吉思汗倶楽部」を設立しました。会員には、当時の札幌市長や地元の有力者が名を連ねていました。

クラブ会報誌「成吉思汗クラブ報」では、ジンギスカンの調理方法や食べ方を紹介。ジンギスカン鍋で羊肉を焼き、タレにつけて食べるスタイルが推奨されていました。その後、会員制クラブは解散しましたが、その味と伝統は「ツキサップじんぎすかんクラブ」として受け継がれています。

現在、「ツキサップじんぎすかんクラブ」は、八紘学園農場内に店舗を構え、当時の味と伝統を守り続けています。

店舗情報

所在地：北海道札幌市豊平区月寒東3条11丁目2番5号
アクセス：
札幌市営地下鉄東豊線福住駅から徒歩20分
札幌市営地下鉄東西線南郷13丁目駅から徒歩20分
* 北海道中央バス月寒東4条16丁目停留所下車

ツキサップじんぎすかんクラブ公式サイト

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