ツクバネソウ属

ツクバネソウ属（Paris）

ツクバネソウ属は、シュロソウ科（APG植物分類体系）に属する植物のグループです。以前はユリ科に分類されていました。

特徴

ツクバネソウ属の植物は、多年草であり、まっすぐに伸びる茎が特徴です。茎の根元には退化した葉が少数つき、上部には4枚から10枚程度の大きな葉が輪生状につきます。葉には網状の葉脈が目立ちます。

花は茎の先端に一つだけ咲き、4数性（花びらなどの構成要素が4の倍数）です。花被片はそれぞれ独立しており、外側の花被片は緑色で大きく、内側の花被片は小さく、または存在しません。雄しべは8個から10個あり、葯は細長い線形です。葯の先端が長く伸びるものもあります。子房は上位に位置し、1室または4室から10室に分かれます。花柱の先は4つから10に分かれています。果実は液果となります。

分布

ツクバネソウ属の植物は、アジアやヨーロッパの温帯地域に約26種が分布しています。日本には以下の3種が自生しています。

ツクバネソウ (Paris tetraphylla) : 北海道、本州、四国、九州
クルマバツクバネソウ (Paris verticillata) : 北海道、本州、四国、九州、中央アジア、東アジア
キヌガサソウ (Paris japonica) : 本州中部地方以北の日本海側（日本固有種）

キヌガサソウは、独立したキヌガサソウ属 Kinugasa に分類されることもあります。

その他の種

日本国外にも、多数のツクバネソウ属の植物が分布しています。

Paris axialis : 中国
Paris bashanensis : 中国
Paris caobangensis : ベトナム
Paris cronquistii : 中国
Paris daliensis : 中国
Paris delavayi : 中国南部からベトナム
Paris dulongensis : 中国
Paris dunniana : 中国から海南島
Paris fargesii : インドのアルナーチャル・プラデーシュ州から中国南部
Paris forrestii : チベット南東部からミャンマー北部
Paris incompleta : トルコ北西部からコーカサス
Paris luquanensis : 中国
Paris mairei : 中国
Paris marmorata : ヒマラヤ中央部から中国
Paris polyandra : 中国
Paris polyphylla : ヒマラヤから中国
Paris quadrifolia : ヨーロッパからモンゴル
Paris rugosa : 中国
Paris stigmatosa : 中国
Paris thibetica : ヒマラヤ東部から中国
Paris undulata : 中国
Paris vaniotii : 中国からミャンマー北部
Paris vietnamensis : 中国からベトナム


参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本I単子葉類』、1982年、平凡社
豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』、1988年、山と溪谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
The Plant List

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