ツノメドリ

ツノメドリ（角目鳥）

ツノメドリ（学名：Fratercula corniculata）は、チドリ目ウミスズメ科に分類される海鳥で、北太平洋に生息しています。その特徴的な外見と生態から、多くの人々に親しまれています。

分布

ツノメドリは、主に北太平洋の寒冷な海域に分布しています。具体的には、カムチャツカ半島からチュクチ半島、アラスカ西部、アリューシャン列島などのベーリング海沿岸、そして千島列島などで繁殖します。冬期になると、やや南へ移動することが知られています。

日本では、ツノメドリは繁殖しませんが、冬の間に北日本の海上で少数観察されることがあります。まれに夏期にも観察例があり、北海道東部の大黒島や霧多布では、過去に夏羽の個体が島の周辺を飛び回り、崖の穴に入ったという記録があります。また、霧多布では1978年7月と1980年7月にも観察されています。繁殖期には、北海道や北日本の航路でも観察されることがあり、択捉島や色丹島での繁殖記録も存在します。

同じツノメドリ属のニシツノメドリ (Fratercula arctica) は、大西洋北部で繁殖します。ニシツノメドリは、国の鳥ではありませんがアイスランドなどにおいて非常にポピュラーな種であり、周辺地域を含めての象徴的な存在となっています。

形態

ツノメドリの体長は約40cmで、ハトよりやや大きいサイズです。その最大の特徴は、太くて縦に平たい独特の形状をしたくちばしです。くちばしには縦に数本の溝があり、根元は黄色、先は赤い色をしています。体の羽毛は、胸から腹にかけては白色、それ以外の部分は黒色をしています。

冬羽と夏羽では外見が異なり、冬羽では顔が灰色でくちばしもくすんだ色になりますが、夏羽になるとくちばしの色があざやかになり、顔が白くなります。また、目の上と後ろに黒くて細い模様が現れ、名前の由来となっている角が生えたような外見になります。

ツノメドリとよく似た鳥にエトピリカがいますが、エトピリカは胸と腹が黒いことで区別できます。また、ニシツノメドリも外見は似ていますが、くちばしの根元が灰青色であること、そして分布域がほとんど重ならないことで見分けることができます。

生態

ツノメドリは、非繁殖期には外洋で生活します。短い翼を巧みに使い、海中を潜水して魚類を捕食します。くちばしの縁は鋭いギザギザになっており、捕らえた魚を逃がさない構造になっています。

繁殖期になると、海に面した断崖の上の地面に集団で巣穴を掘って繁殖します。ヒナが孵化すると、親鳥は海で採餌を行い、くちばしにたくさんの魚を咥えて巣に戻ります。一度に多数の魚を咥えることができるのは、捕らえた魚を上のくちばしと舌で挟み、さらに上のくちばしと下のくちばしで魚を捉えることができるためです。

関連項目

ツノメドリ属

参考文献

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