ツリフネソウ属

ツリフネソウ属（学名：Impatiens）は、ツリフネソウ科に属する多様な植物群であり、その種数は900を超えることが知られています。これらの植物は、世界中の様々な環境に適応して生育しており、その形態や生態も多岐にわたります。

日本においては、ツリフネソウ、キツリフネ、ハガクレツリフネなどが自生しています。これらの種は、山地の湿った場所や水辺などで見られ、独特な花の形と鮮やかな色彩で人々の目を楽しませてくれます。また、園芸植物としても、ホウセンカやアフリカ原産のアフリカホウセンカ、さらに品種改良されたニューギニアインパチェンスなどが広く栽培されており、家庭の庭や公園などでその美しい姿を見ることができます。

特徴

ツリフネソウ属の植物は、一般的には草本として知られていますが、一部の種では基部が木質化するものも存在します。葉は互生または対生しており、その形状や大きさは種によって異なります。花は葉腋から単独で、または散房状に咲きます。萼片は通常3枚ですが、まれに5枚のものも見られます。最も特徴的なのは、下方の萼片が袋状になり、下に曲がるか渦巻き状になる距を持つことです。この距は、蜜を貯める役割を果たしており、昆虫などを誘引するのに役立っています。花弁は5枚で、左右のものはしばしば2枚ずつ合着しています。果実は肉質の蒴果であり、成熟すると縦に裂け、その際に裂片が勢いよく巻きながら種子を飛ばすという特徴的な散布方法を持っています。

主な種

ツリフネソウ: 日本を代表するツリフネソウ属の植物で、ピンク色の独特な形の花を咲かせます。
キツリフネ: ツリフネソウに似ていますが、黄色い花を咲かせるのが特徴です。
ハガクレツリフネ: 白色の花を咲かせ、他のツリフネソウとは異なる雰囲気を持っています。
ホウセンカ: 夏の花として親しまれており、赤、ピンク、白などの鮮やかな花を咲かせます。
アフリカホウセンカ: アフリカ原産の種で、様々な園芸品種があります。
ニューギニアインパチェンス: 園芸用に品種改良されたもので、花の色や形が豊富です。

これらの種は、それぞれ異なる特徴を持ち、様々な環境に適応して生育しています。ツリフネソウ属の植物は、その多様性と美しい花で、自然愛好家や園芸家から広く愛されています。

参考文献

青山潤三『決定版 山の花1200-山麓から高山まで』平凡社、2003年8月。ISBN 4582542336。
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X。

外部リンク

米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名−学名インデックス（YList）
日本のレッドデータ検索システム「Impatiens」 （エンビジョン環境保全事務局）

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