ツルコケモモ

ツルコケモモ（蔓苔桃）について

ツルコケモモ（学名：Vaccinium oxycoccos）は、ツツジ科スノキ属に分類される常緑性の小低木です。日本では、北海道から本州中部地方以北にかけての寒冷地に自生しており、高層湿原のミズゴケの中に生育している姿がよく見られます。世界的には、北ヨーロッパ、北アジア、北アメリカ北部など、北半球の寒い地域に広く分布しています。

北海道のアイヌの人々は、この植物を地域によって異なる名前で呼んでいました。例えば、長万部、幌別、斜里では「カタㇺ（katam）」、美幌では「カタㇺカウレㇷ゚（katamka-urep）」という言葉が使われていました。一方、樺太アイヌは「フトゥレㇸ（hutureh）」と呼んでいました。これらの地域では、ツルコケモモは古くから食用として利用されてきました。

特徴

ツルコケモモは、細い茎が特徴で、長さは20cm程度まで成長し、まばらに枝分かれします。葉は柄がなく、茎に互い違いに生え、卵状長楕円形または狭卵形をしています。葉の大きさは長さ5〜15mm、幅2〜5mm程度で、先端は尖っており、縁は滑らかでわずかに裏側へ巻いています。葉の裏面は粉を吹いたように白っぽくなっています。

花期は7月で、前年の枝先にできた花芽から短い毛が密生した1〜4本の花柄を出し、その先に淡紅色の花が一つずつ下向きに咲きます。花冠は4つに裂けており、それぞれの裂片は長さ7〜9mmで、カタクリの花のように後ろに反り返ります。

果実は9〜10月に成熟し、直径1cmほどの球形の漿果で、赤く熟します。この果実は一般的にクランベリーとして知られ、食用に利用されています。

分布と生育環境

ツルコケモモは、日本では北海道から本州中部以北の寒冷地に分布しており、高層湿原などの湿った環境で、ミズゴケの中に自生しています。北半球の寒い地域では広く分布しており、寒冷な気候に適応した植物と言えるでしょう。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（脚注は省略）

関連項目

クランベリー
スノキ属

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ 』(1981)平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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