ツルナ

ツルナ（蔓菜）

ツルナ（蔓菜、学名: Tetragonia tetragonioides）は、ハマミズナ科ツルナ属に分類されるつる性の多年草です。一般的にハマヂシャとも呼ばれ、海岸の砂地に自生し、その若い茎や葉は食用として人気があります。本記事ではツルナの特徴や分布、栽培法、食用利用、さらには薬用効果について詳しく解説します。

名称の由来

「ツルナ」という名称は、その茎の形状が地面を這うように伸びることから名付けられました。地域によってはハマジシャやウミジシャなどの別名も存在し、沖縄では特にハマホウレンソウやハマナ、沖永良部島ではハマチシャと呼ばれています。中国名は蕃杏（ばんきょう）で、英語ではニュージーランドスピニッチとも呼ばれています。これは、ニュージーランドの先住民がこの植物を食用にしていたことに由来しています。

分布・生育地

ツルナは日本や中国を原産地とし、主に太平洋沿岸の熱帯から温帯地域に広く分布します。特に日本では、北海道の西南部から本州、四国、九州、沖縄にかけて見られ、海岸の砂地や礫地に群生して自生します。この植物は、果実が波に流されて繁殖するため、海岸での発見が容易です。また、ヨーロッパでは野菜として栽培されており、かつては日本でも多くの家庭で栽培されていました。

形態・生態

ツルナは多年生の草本で、高さは20から60センチメートル程度まで成長します。茎は分枝し、地面を這って広がる特性があります。葉は肉厚で、卵形または菱形をしており、特に日光を浴びると輝いて見えます。春から秋にかけての花期には、葉腋に1から2個の黄色い花が咲きます。果実は倒卵形で、熟すと水に浮くため、海流によって散布されます。

栽培方法

ツルナは栽培が容易であり、野生のものから種を採取して庭やプランターに蒔くだけで、約10日ほどで発芽します。基肥として堆肥や腐葉土を少量与えるだけで成長しやすく、最近ではグラウンドカバー植物としても利用されています。

食用利用

この植物は約93%の水分を含み、栄養素としてはたんぱく質、炭水化物、ビタミン類を多く含んでいます。特に旬は7月から10月で、この時期に若い葉や茎を摘み取り食用にします。葉はゆでて水にさらすことで、シュウ酸の影響を軽減し、さまざまな料理に利用されます。

日本では、特にごま和えや酢味噌和え、また炒め物や味噌汁に使われ、台湾では卵を使ったスープにされることが一般的です。ツルナはフィトケミカルを含み、免疫力を高めたり、皮膚や粘膜に良い影響を与えたりすることが期待されています。

薬用効果

ツルナの葉と茎を花を含めて刈り取り、乾燥させたものは生薬としても利用され、「蕃杏」と呼ばれています。これには胃炎や腸炎、胸焼けに効能があるとされています。しかしながら、胃腸が冷えやすい人や妊婦には使用が制限される場合があるため、注意が必要です。

このように、ツルナは食用としても薬用としても魅力的な植物であり、私たちの生活に役立つ多様な可能性を秘めています。

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