ツルニンジン属

ツルニンジン属（Codonopsis）

ツルニンジン属（学名：Codonopsis）は、キキョウ科に属する植物のグループです。主に東アジアからヒマラヤ、インドにかけての地域を中心に分布しており、約55種が確認されています。日本にも数種類が自生しています。

この属の植物は、地下に肥大した塊状の根（塊根）を持つ、つる性の多年草であるという共通の特徴があります。植物全体には独特の不快な臭いがあり、茎などを傷つけると白い乳液が滲み出す性質があります。

形態的特徴

葉は通常、葉柄を持っており、茎に対して対になってつく（対生）か、互い違いにつく（互生）ものが一般的ですが、一部の種では複数の葉が輪状に見えるようにつく（偽輪生）こともあります。

花は、側枝の先端からぶら下がるように咲くのが特徴です。花冠は鐘の形をしており、その先端は五つに裂けています。花冠の基部は、わずかに子房とくっついています。花の色は種によって多様で、緑紫色、青色、または白色などが見られます。

萼（がく）は筒状になっており、上部が五つに裂けて、葉のような形をしています。雄蕊（ゆうずい）は5本あり、花冠とはくっついていません。子房は花冠の下に位置する下位子房で、3室または5室に分かれています。雌蕊（しずい）の先端である柱頭も3つまたは5つに裂けており、その裂片は幅広くなっています。

受粉後には、扁球形の果実ができます。これは蒴果（さくか）と呼ばれ、熟すと上端から割れて種子を放出します。種子は長楕円形をしており、種によっては翼を持つものもあります。

日本に自生する主な種

日本にはツルニンジン属の植物が数種自生しています。

ツルニンジン（Codonopsis lanceolata）
「ジイソブ」とも呼ばれます。根がウコギ科のチョウセンニンジンに似て太く、茎がつる性になることからこの和名が付けられました。日本を含む東アジア広範に分布しています。
シブカワニンジン（Codonopsis lanceolata var. omurae）
ツルニンジンの変種とされており、葉が細く、特に葉の裏面に毛が密生する点が特徴です。日本の本州、主に東海地方から紀伊半島にかけて分布しています。
バアソブ（Codonopsis ussuriensis）
全体的にツルニンジンよりも小ぶりな種です。和名は、花冠の内側にある斑点が、老婆の顔のそばかすに例えられたことに由来すると言われています。日本、朝鮮半島、中国東北部、ウスリー、アムールなど、東アジア北部に分布します。
ツルギキョウ（Codonopsis javanica spp. japonica）

栽培される主な種

薬用や健康食品として栽培されるツルニンジン属の種もいくつかあります。

ヒカゲツルニンジン（Codonopsis pilosula）
「マンサン」「ヤマツルニンジン」「党参（トウジン）」などの別名でも知られ、生薬として利用されます。
トウサン（Codonopsis tangshen）
「川党参」とも呼ばれ、こちらも重要な生薬の一つです。

これらの種は、その薬効成分や独特の風味から、世界各地で伝統医療や食文化において重要な役割を果たしています。

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