ツルマンリョウ

ツルマンリョウ（蔓万両）

ツルマンリョウ（学名: Myrsine stolonifera）は、サクラソウ科に属する常緑の小低木です。この植物は、別名ツルアカミノキとも呼ばれ、果実の色からその名称が付けられました。名前の由来は、つる状の成長とマンリョウに似た形状から来ています。種小名の「stolonifera」は「匍匐茎を持つ」という意味を持ち、特徴的な生態を表しています。

分布と成育環境

ツルマンリョウは、日本国内の奈良県、広島県、山口県、鹿児島県、沖縄県といった地域に生育しています。そのほか、台湾や中国南部（安徽省、福建省、広東省など）の標高300から2100メートルの森林や湿地帯にも見られます。日本では、自生が非常に稀であり、特に奈良県や山口県の地域は国の天然記念物に指定されている場所も多いです。これにより、ツルマンリョウの保存が重要視されています。

外観と成長特性

ツルマンリョウは、高さが0.5から1メートル程度に成長し、常緑樹林の明るい林床で見ることができます。若い枝は緑色をしており、古い枝は黒褐色に変化します。葉の大きさは長さ4から9センチ、幅1から3センチほどで、互生しています。葉は両端が尖り、全縁であり、革のような質感を持ち、表面は濃い緑色をしています。

また、ツルマンリョウは雌雄別株の植物であり、7月から8月にかけて白色から緑白色の花を葉の腋に咲かせます。花は特徴的で、花柄、花冠、子房は紅紫色の小さな腺点に覆われています。雄しべは5本、雌しべは1本存在しますが、雄花では子房の発育が見られない場合が多いです。秋になると、赤い実を結び、果実は薄い果肉を持つ球形の核果です。

成育条件と生息範囲

ツルマンリョウは、その特殊な生育条件から自生するのが難しい植物です。特に、一定の時間のみ太陽光を受ける環境や、花崗岩系の土壌を好みます。これにより、日本国内の限られた場所でしか確認されていません。具体的には、山口県山口市の出雲神社や、広島県内の数カ所、奈良県、屋久島などの特定の地域でのみ見られます。

種の保全状況

ツルマンリョウは日本の環境省のレッドリストにおいて、準絶滅危惧（NT）に分類されています。そのため、各都道府県でのレッドデータやレッドリストにおいても、奈良県では希少種、広島県では絶滅危惧I類（CR+EN）、山口県では絶滅危惧IA類（CR）、鹿児島県では絶滅危惧I類、沖縄県でも絶滅危惧IA類（CR）とされ、保護の必要性が高い種とされています。

関連項目

ツルマンリョウの自生地として、丹生川上中社が挙げられます。教育や環境保護の観点から、ツルマンリョウに関する研究や保全活動が行われています。

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