ツール・ド・フランス1973

ツール・ド・フランス1973：オカーニャ、圧勝の背景

1973年のツール・ド・フランスは、第60回目の開催となる記念すべき大会でした。全20ステージで、6月30日から7月22日まで熱戦が繰り広げられました。

大会前の注目点

この年のツールは、前年までの絶対王者エディ・メルクスが不在という状況で幕を開けました。メルクスはブエルタ・ア・エスパーニャ、ジロ・デ・イタリアで勝利しており、休養のためにツールを欠場しました。そのため、総合優勝争いは混沌とした様相を呈し、これまでメルクスに阻まれてきたヨープ・ズートメルクやレイモン・プリドールらにとっては、千載一遇のチャンスと目されました。しかし、ルイス・オカーニャが静かに闘志を燃やしていました。

大会の展開

序盤は、ズートメルクがプロローグを制したものの、オカーニャのチームメイトであるジョセ・カティーオが健闘し、第6ステージまでマイヨ・ジョーヌを保持しました。オカーニャは5位につけ、1分59秒差でカティーオを追っていました。

アルプス山脈が舞台となった第7ステージは、前半・後半に分かれた二部構成。前半ステージでオカーニャが勝利し、ついにマイヨ・ジョーヌを奪取しました。後半ステージを終え、総合2位にはズートメルクが2分51秒差、ベルナール・テブネが3分17秒差の3位、ルシアン・バンインプが3分19秒差の4位、プリドールが6分24秒差の7位と続いていました。

続く第8ステージは、ガリビエ峠（標高2556m）、イゾアール峠（標高2361m）という二つの難関峠が待ち受ける、アルプスステージ最大の難関ステージでした。ここでオカーニャは、早くも中盤のガリビエ峠でアタックを仕掛け、ホセマヌエル・フエンテのみが追走。ゴールではフエンテを振り切り、区間優勝を果たしました。一方、ズートメルクとバンインプは20分24秒、プリドールは20分31秒という大差をつけられ、大きく後退。テブネも6分59秒差をつけられました。この時点で、オカーニャは総合2位のフエンテに9分8秒差をつけ、テブネは10分16秒差の3位となりました。ズートメルクは5位、バンインプは7位、プリドールは9位に順位を落とし、いずれも20分以上の大差がついてしまいました。

アルプスステージでのオカーニャの走りは、早くもメルクスに匹敵すると評価されるほどでした。そして、第13ステージは、2年前にオカーニャがマイヨ・ジョーヌを着ながらもリタイアを余儀なくされたときと同じコース。しかし、オカーニャはズートメルクの抵抗を退け、区間優勝。総合2位のフエンテに4分以上の差をつけ、完全に独走状態となりました。第14ステージでは、プリドールがリタイアしています。

その後も、オカーニャは第16、第20ステージ前半を制し、最終的に圧勝。メルクスが出場していても、オカーニャが勝利しただろうと言われるほどの強さを見せつけました。

大会の結果

オカーニャの圧倒的な勝利で幕を閉じた1973年のツール・ド・フランス。彼の力強い走りは、記憶に残るものとなりました。

外部リンク

第60回ツール・ド・フランス 1973（フランス語）

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