ツール・ド・フランス1974

ツール・ド・フランス1974：エディ・メルクスの5度目の栄光

1974年のツール・ド・フランスは、第61回目の大会として6月27日から7月21日まで全22ステージで開催されました。この大会は、前年不参加だったエディ・メルクスがジロ・デ・イタリアで3連覇を達成し、ジャック・アンクティルに並ぶ5度目の総合優勝、そして史上最多となる3度目のダブルツールを狙うという、大きな注目を集めました。

大会概要

ルイス・オカーニャやヨープ・ズートメルクといった強豪が不参加となり、メルクス圧倒的有利というムードの中、大会はスタートしました。メルクスはプロローグで勝利し、その実力を見せつけましたが、第5ステージまではパトリック・セルキュがマイヨ・ジョーヌを着用しました。しかし、第7ステージでメルクスが勝利し、マイヨ・ジョーヌを奪取します。

アルプスステージ

第9ステージからアルプスステージが始まり、7時間を超える過酷なステージをメルクスが制し、総合2位のジョアキン・アゴスティーニョに1分37秒差、3位のレイモン・プリドールに2分1秒差をつけました。続く第10ステージでもメルクスが勝利しましたが、プリドールも奮闘し、メルクスと同タイムでゴールしました。プリドールは総合2位に浮上しましたが、メルクスは追撃を許しませんでした。

第11ステージでは、ビセンテ・ロペスカリルやゴンザロ・アハらのクライマーの力を借り、区間2位でゴール。プリドールは6分17秒差をつけられ、総合6位に転落しました。第14ステージを終えて、メルクスがトップに立ち、アハが2分5秒差の2位、ロペスカリルが3分20秒差の3位につけました。

ピレネーステージ

第15ステージからはピレネーステージが始まり、第16ステージでプリドールが会心の走りを見せます。標高2680mのプラダーデ峠をトップで通過し、ロペスカリルの追撃を振り切って区間優勝。メルクスは1分49秒差の区間5位に入り、総合2位に浮上したロペスカリルとは2分24秒差となりました。

第17ステージでもプリドールが健闘し、区間2位でフィニッシュ。メルクスとのタイム差を5分18秒差にまで縮め、総合3位に浮上します。メルクスはロペスカリルとほぼ同タイムでゴールし、ピレネーステージを終えて、トップのメルクスに対し、ロペスカリルが2分24秒差、プリドールが5分18秒差で続きました。

決着

山岳ステージを終えてからのメルクスの強さは圧倒的でした。第19ステージ後半の個人タイムトライアルを制し、第21ステージ前半の平坦ステージでは、平均時速48.532kmの高速レースを展開し、ロペスカリルとプリドールを完全に引き離しました。同ステージ後半の個人タイムトライアルでも区間2位に入り、2位に浮上したプリドールに7分48秒差、3位のロペスカリルに7分49秒差をつけ、決着をつけました。

メルクスは最終ステージも制覇し、区間8勝、5度目の総合優勝を達成しました。

その後

メルクスはこの年の世界自転車選手権・個人ロードも優勝し、史上初のジロ・ツール・世界チャンピオンというトリプルクラウンを達成しました。



マイヨ・ジョーヌ保持者
エディ・メルクス

外部リンク
第61回 ツール・ド・フランス 1974（フランス語）

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