ツール・ド・フランス1978

ツール・ド・フランス1978：若きイノーの衝撃的なデビューと初優勝

1978年、第65回ツール・ド・フランスが6月29日から7月23日まで、全22ステージにわたって開催されました。この大会は、若きベルナール・イノーが初出場にして総合優勝を成し遂げたことで、その名を歴史に刻みました。

混迷を極めた優勝争い

前年までベルギーのC＆Aチームに所属していた大スター、エディ・メルクスは、この年チームを移籍。しかし、ツール・ド・フランスの出場メンバーに彼の名前はなく、この年をもって現役を引退しました。

大会前、優勝候補には前年覇者のベルナール・テブネ、前年僅差で敗れたハニー・クイパー、一昨年の覇者ルシアン・バンインプ、そしてヨープ・ズートメルクらが挙げられていましたが、いずれも決め手不足と見られていました。まさに混沌とした状況の中、ルノー・ジタンの若きエース、ベルナール・イノーがブエルタ・ア・エスパーニャを制してツールに初出場し、大きな注目を集めました。

波乱の展開とイノーの台頭

混戦模様を象徴するように、前年優勝のテブネが第11ステージでまさかの棄権。序盤はスプリンターが区間優勝を独占する展開となりました。しかし、第8ステージの個人タイムトライアルでイノーが区間優勝を果たし、存在感を示します。しかし、この時点ではマイヨ・ジョーヌのジョセフ・ブルイエールとは3分32秒差がありました。

ピレネーステージに入ると、第11ステージでイノーはマリアーノ・マルチネスに僅差の区間2位に入り、ブルイエールとの差を1分5秒まで縮めて総合2位に浮上します。しかし、アルプスステージの第14ステージ個人タイムトライアルで、ブルイエールはイノーを45秒突き放し、イノーは区間優勝したズートメルクにも抜かれて総合3位に転落してしまいます。

ズートメルクとの激しい攻防

しかし、イノーは諦めませんでした。第15ステージを制覇し、ラルプ・デュエズがゴールとなった第16ステージでは、区間優勝したクイパーに8秒差で続きました。ズートメルクが41秒差の区間3位に入ったことで、この時点でズートメルクがマイヨ・ジョーヌを獲得。イノーは僅か14秒差の総合2位に迫ります。一方、トップのクイパーから11分16秒遅れたブルイエールは、総合でもズートメルクに9分32秒差をつけられ、優勝争いから脱落。さらに、総合3位に浮上したクイパーが続く第17ステージでリタイアし、総合優勝争いはズートメルクとイノーの2人に絞られました。

最終決戦、そして勝利

14秒差で迎えた第20ステージの個人タイムトライアルで、イノーは1時間39分29秒をマークして区間制覇。対するズートメルクはイノーに4分10秒遅れて区間9位に終わり、イノーがズートメルクに3分56秒差をつけ、ついにマイヨ・ジョーヌを手にしました。そして、残る2ステージもイノーが危なげなく走りきり、ツール初出場・初優勝という偉業を達成したのです。

大会の結果

ベルナール・イノーの鮮烈なデビューと優勝で幕を閉じた1978年のツール・ド・フランス。若き才能の台頭は、サイクルロードレース界に新たな時代の到来を告げました。

総合成績（省略）
マイヨ・ジョーヌ保持者（省略）

外部リンク

* 第65回 ツール・ド・フランス 1978（フランス語）

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