ツール・ド・フランス1994

ツール・ド・フランス1994：インドゥライン4連覇と新世代の台頭

1994年のツール・ド・フランスは、第81回目の開催であり、7月2日から7月24日まで、プロローグと全21ステージで争われました。この大会は、ミゲル・インドゥラインが圧倒的な力を見せつけ、ジャック・アンクティル、エディ・メルクスに並ぶ史上3人目の4連覇を達成したことで記憶されています。

コースの特徴

グランデパールはフランス北部のリール。英仏海峡トンネルの開通を記念して、第4・5ステージはイギリスで行われました。その後、フランス西部を南下しピレネー山脈へ。アルプス山脈を経て、最終日前々日に個人タイムトライアルが設定されるという、23日間で休息日が1日しかない過酷なコースでした。

大会前の展望

ジロ・デ・イタリアで3位に終わったインドゥラインは、アシスト役だったペドロ・デルガドの引退、アントニオ・マルティン・ベラスコの事故死、スポンサーのバネスト銀行の破綻など、多くの不安要素を抱えていました。しかし、メルチョル・マウリを新たなアシストに加え、万全の体制でツールに臨みました。下馬評では、インドゥラインの4連覇はほぼ間違いないと見られていました。

対抗馬としては、前年のツールで活躍し、ブエルタ・ア・エスパーニャを3連覇したトニー・ロミンゲル、クラウディオ・キアプッチなどが挙げられていましたが、なんとこの2人は途中でリタイアしてしまいます。

大会の展開

波乱の幕開け

プロローグでは、ツール初参戦のクリス・ボードマンがインドゥラインを破るという波乱が起きました。ボードマンは第2ステージまでマイヨ・ジョーヌを保持しました。

事故と波乱

第1ステージでは、ゴールスプリント中に観客整理の不手際により、ウィルフリード・ネリッセンとローラン・ジャラベールが重傷を負う事故が発生。ジャラベールはリタイアを余儀なくされました。

インドゥラインの独走

第9ステージの個人タイムトライアルで、インドゥラインは圧倒的な力を見せつけ、マイヨ・ジョーヌを奪取。その後は、ライバルたちの追随を許さず、パリまでマイヨ・ジョーヌをキープしました。

新世代の台頭

ピョートル・ウグルモフ、マルコ・パンターニといった新たな勢力が台頭し、インドゥラインを脅かしました。特にウグルモフは、第17、18ステージで区間優勝を飾り、総合2位にまで順位を上げました。パンターニも山岳ステージでアタックを繰り返し、総合3位に入りました。

大会の結果と意義

最終的に、インドゥラインは史上3人目のツール4連覇を達成しましたが、ウグルモフやパンターニといった新世代の台頭も著しく、今後のツールを占う上で重要な大会となりました。

グレッグ・レモンにとっては最後のツールとなり、第6ステージにて棄権、この年をもって現役を引退しました。また、ボードマンは世界自転車選手権、個人タイムトライアル種目の初代王者となりました。

インドゥラインの圧倒的な強さと、新世代の台頭が交錯した1994年のツール・ド・フランスは、記憶に残る大会として、今も語り継がれています。

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