ティッセン＝ボルネミッサ美術館

ティッセン＝ボルネミッサ美術館：ヨーロッパ美術の精華

スペイン、マドリードに位置するティッセン＝ボルネミッサ美術館は、その名の通り、ティッセン家とボルネミッサ家の貴重なコレクションを基盤とする美術館です。プラド美術館からもほど近い場所にあり、美術愛好家にとっては見逃せないスポットとなっています。

歴史：二つの名家のコレクション

この美術館の歴史は、1920年代にドイツの鉄鋼財閥ティッセン家とハンガリー貴族ボルネミッサ男爵家の流れを汲むハインリヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵が収集を始めたことに遡ります。当初は古典絵画が中心でしたが、息子のハンス・ハインリヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵の代になり、近現代美術の収集も積極的に行われるようになりました。

ハンス・ハインリヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵の個人コレクションは、その規模と質において、英国のエリザベス女王のコレクションに次ぐ世界第2位とも評されています。男爵は1985年に元ミス・スペインのカルメン・セルベーラと結婚し、これを機に自身のコレクションをスペイン政府に譲渡することを決意しました。1992年、ティッセン＝ボルネミッサ美術館は、ボルネミッサ家のコレクションを借り受ける形で開館しましたが、翌年にはスペイン政府がコレクションを全て買い取り、現在の形となりました。

現在でも、男爵夫人であるカルメン・セルベーラは著名なコレクターとして、美術館の運営に深く関わっています。

コレクション：8世紀にわたる美術の旅

ティッセン＝ボルネミッサ美術館のコレクションは、その多様性と質の高さにおいて、他の美術館と一線を画します。父親のハインリヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵が集めた古典絵画に加え、息子のハンス・ハインリヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵が収集した19世紀から20世紀の作品が、美術館の大きな魅力となっています。

この美術館のコレクションを巡ることで、14世紀から20世紀までのヨーロッパ美術の変遷を辿ることが可能です。初期には、イタリアのドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャの作品や、フランドル、オランダ絵画の巨匠であるヤン・ファン・エイク、アルブレヒト・デューラー、ハンス・ホルバインなどの作品が展示されています。

ルネサンス期やバロック期には、ティツィアーノ、セバスティアーノ・デル・ピオンボ、カラヴァッジョ、ピーテル・パウル・ルーベンス、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ、レンブラント・ファン・レイン、フランス・ハルス、ドメニコ・ギルランダイオ、ヴィットーレ・カルパッチョなど、錚々たる巨匠たちの作品が並びます。印象派や後期印象派の作品も充実しており、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、エドガー・ドガ、フィンセント・ファン・ゴッホなど、誰もが知る画家たちの名作を鑑賞できます。

さらに、20世紀の作品としては、パブロ・ピカソ、ピエト・モンドリアン、エドワード・ホッパーなど、近現代美術を代表する画家の作品も所蔵されています。

美術館の見どころ

ティッセン＝ボルネミッサ美術館は、その多様なコレクションだけでなく、展示方法や美術館の雰囲気も魅力の一つです。各時代の美術の流れを体系的に学ぶことができるほか、著名な画家の代表作を間近で見ることができる貴重な機会を提供しています。

美術館の建物自体も美しく、訪問者はゆったりとした空間で芸術に触れることができます。マドリードを訪れた際には、プラド美術館と共に、この美術館もぜひ訪れてみてください。きっと忘れられない美術体験となるでしょう。

参考文献

Lee Feinsteinほか『美術を巡る旅ガイド ヨーロッパを代表する画家達 ゴッホ、フェルメール、ゴヤ、カラヴァッジョ、ムンク』メディアファクトリー、2012年。ISBN 978-4-8401-4350-9。

外部リンク

公式ウェブサイト（英語）（スペイン語）
Museo Nacional Thyssen-Bornemisza (museothyssen) - Facebook（スペイン語）
Museo Thyssen (@museothyssen) - X（旧Twitter）（スペイン語）
* Museo Thyssen-Bornemisza (@museothyssen) - Instagram（スペイン語）

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