ティネット島

ティネット島：歴史と自然が織りなす小さな世界遺産

ティネット島（Isola del Tinetto）は、イタリアのリグーリア海岸に位置する、面積わずか0.006平方キロメートルの小さな島です。行政的にはリグーリア州ラ・スペツィア県ポルトヴェーネレに属し、周辺の島々や沿岸集落とともに、ユネスコの世界遺産「ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群」を構成する重要な要素となっています。

地理

ティネット島は、ラ・スペツィア湾の入り口西端に位置するスペッツィーノ諸島の最南端にあります。すぐ北にはティーノ島があり、この二つの島とパルマリア島は、国際水路機関によってリグリア海とティレニア海の境界と定義されています。島は植物に覆われており、自然豊かな景観が特徴です。

歴史

ティネット島の歴史は古く、6世紀にまで遡る小さな祈祷所の遺跡が島の西端に残されています。島の東部には、11世紀に段階的に建設された、より複雑な構造を持つ聖堂の遺跡があります。この聖堂は2つの身廊を持ち、修道士たちの独居房群が併設されていました。しかし、残念ながらサラセン人によって完全に破壊されました。また、島の南の海中には、半分沈んだ岩の上に、高さ約2メートルのステラ・マリス像が建立されています。

1997年、この島を含む「ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群」は、その文化的価値と美しい景観が評価され、世界遺産に登録されました。

アクセスと注意点

隣接するティーノ島が一般市民のアクセスを制限されているのに対し、ティネット島は船などを係留できる者であれば上陸が可能です。ただし、近年カモメの繁殖地となっており、繁殖期には非常に攻撃的になるため、上陸の際には注意が必要です。

ティネット島の特色

この島には、非常に希少な固有種のトカゲ「Podarcis muralis tinettoi」が生息しており、生物学的にも重要な場所です。また、前述のカモメのコロニーが形成されており、自然環境の変化を観察する上でも興味深い場所となっています。

世界遺産の登録基準

ティネット島を含む世界遺産「ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群」は、以下の基準を満たして登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
* (5) ある文化（または複数の文化）を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。

ティネット島は、その歴史的背景、美しい景観、そして独自の生態系を持つ、非常に魅力的な島です。訪れる際には、自然環境と文化遺産を尊重し、持続可能な観光を心がけることが重要です。

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