ティノ・ベリ

ティノ・ベリ：モータースポーツ界の空力技術者

ティノ・ベリ（1961年4月10日生まれ）は、ウェールズ出身の著名なエアロダイナミシストです。現在はINDYCARシリーズの空力開発ディレクターとして活躍しており、長年に渡るモータースポーツ界での経験と卓越した技術力から、世界中のレーシングチームから高い評価を得ています。

輝かしいキャリア：マーチ時代からINDYCARへ

ベリ氏のキャリアは、イギリスの工業都市スウォンジーで始まりました。イタリア系移民の家庭に生まれ、幼い頃から工学への強い関心を抱き、ロンドンのインペリアルカレッジに進学。1981年に航空工学の理学士号を取得し、首席で卒業しました。その後、原子力業界でエンジニアとして2年間経験を積んだ後、モータースポーツ界へと足を踏み入れます。

1984年、ベリ氏は名門レーシングコンストラクターであるマーチに入社。上級エアロダイナミシストとして、インディカー、F3000、IMSA、グループC、さらにはAerotech社のオールズモビルクローズドサーキット記録車(March85C)など、多岐にわたるプロジェクトに携わりました。

マーチ時代のベリ氏は、数々の才能あるエンジニアと共に仕事をする機会に恵まれました。ゴードン・コパック、ティム・ホロウェイ、アラン・マーテンスといった設計エンジニア、そしてエイドリアン・ニューウェイやニック・ワースといった空力エンジニアたちです。特に、ニューウェイ氏はトラックサイドでの研究開発に秀でており、若き天才ワース氏は18歳でマーチと契約し、1987年にはブラックリーに風洞を建設するなど、革新的な貢献を果たしました。

マーチでの仕事を通して、ベリ氏はインディカーレースの世界に深く関わっていきます。1987年には、[マイケル・アンドレッティ]]のレースエンジニアとしてクラコ・エンタープライズで働き(March87C, March88C)、翌年にはポルシェインディカープログラム(March88C)のチーフデベロップメントエンジニアに就任しました。その後、[[レイトンハウス]でシニアエアロダイナミストを務めた後、マーチの崩壊を経験します。

マーチ崩壊後と北米での活躍

マーチ崩壊後、ベリ氏は、ロビン・ハード、ティム・ホロウェイ、そしてマネージャーのレィ・マクターガートと共に新たな会社を設立。レースカーの設計・製造事業に乗り出しました。1991年にはフォンドメタル フォメットF1カーの設計を行い、1992年から1994年にかけては、ラルースのシャシー(LC92、LH93、LH94)の設計に携わりました。

その後、ベリ氏の活躍の場は北米へと移ります。1993年にはGen Tech UKを設立し、ジェラルド・フォーサイスのCARTチームとエンジニアリング支援に関する独占契約を締結しました。1994年、フォーサイスがバリー・グリーンと新たなチームを結成すると、Gen Tech UKはチーム・グリーンに空力支援を提供。1995年には、ジャック・ヴィルヌーヴがインディ500とCARTワールドシリーズの両方を制覇するという快挙を成し遂げることに貢献しました。

Gen Tech UK解散後、ベリ氏はCyber Dynamics Ltdを設立し、独立したコンサルタントとして活動を開始。Team Kool Green(CART)、TWR Arrows(F1)、Pagan Racing(IRL)、Hendrick Motorsport(NASCAR)など、数多くの名門チームにコンサルティングサービスを提供しました。

ベリ氏の経験と技術力は高く評価され、2014年にはINDYCARシリーズ全体の空力開発ディレクターに就任。マーチ・エンジニアリング、パンサーレーシング、アンドレッティ・オートスポーツなど、多くの著名なチームでテクニカルディレクターやレースエンジニアとして活躍してきたベリ氏は、モータースポーツ界に多大な貢献を果たし続けています。

レィ・マクターガートとの関係

ベリ氏のキャリアにおいて、レィ・マクターガートとの関係は特筆に値します。マクターガート氏は、1980年代にマーチでインディカープロジェクトマネージャーを務め、その後もベリ氏と共に様々なプロジェクトで協働しました。ベリ氏とマクターガート氏は、マーチ崩壊後も独立した設計会社を設立し、成功を収めています。

まとめ

ティノ・ベリ氏は、長年に渡りモータースポーツ界の最前線で活躍してきた、世界的に認められたエアロダイナミシストです。その技術力と経験は、数々のチームの成功に貢献し、現在もINDYCARシリーズの発展に大きく寄与しています。彼の今後の活躍にも目が離せません。

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