ティベリーナ島

ティベリーナ島は、ローマを流れるテヴェレ川の中洲に位置する、全長約270メートル、最大幅約67メートルの細長い島です。その歴史は古く、紀元前291年には島の東側にアスクレーピウスの聖域であるアスクレペイオンが建てられました。この神殿は、病を癒やす人々が集まる場所として、一種の病院のような役割も果たしていたと考えられています。

16世紀中頃には、サン・ジョヴァンニ・カリビータ・ファーテベネフラテッリ病院が建てられ、現在もその姿をとどめています。この病院は、島における医療活動の歴史を現代に伝える重要な存在です。

また、かつてアスクレペイオンがあった場所には、10世紀に神聖ローマ帝国皇帝オットー3世によってサン・バルトロメオ・アリソーラ教会が創建されました。この教会は、古代ローマ時代に船の舳先に模して大理石で舗装されていた場所の上に建てられており、教会の周囲にはその大理石舗装が今も残っています。1118年と1180年には修復工事が行われ、ロマネスク様式の美しい鐘楼を持つ教会として知られています。紀元2000年の大聖年には、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がこの地を訪れました。

ティベリーナ島の起源については、興味深い伝説が残されています。古代ローマの王政時代、最後の王であるタルクィニウス・スペルブスが市民に追放された際、市民たちは王の所有物であった穀物をテヴェレ川に投げ捨てました。川の水位が低い時期に、刈り入れを待つ穀物までもが捨てられたため、それらがゴミとともに堆積し、島が形成されたと伝えられています。その後、市民によって整備され、現在の建物が立ち並ぶ姿になったとされています。

ティベリーナ島へのアクセスは容易です。テヴェレ川右岸のトラステヴェレ地区からは、ケスティウス橋を渡るとすぐに島に到着します。また、テヴェレ川左岸のカンプス・マルティウス地区からは、ファブリキウス橋を渡ってアクセスできます。公共交通機関を利用する場合は、ATACトラム8系統のBeli停留所またはArenula-Ministero Grazia E Giustizia停留所が最寄りで、それぞれ徒歩で約250m、350mです。ローマ地下鉄B線のチルコ・マッシモ駅からも約1.3kmと徒歩圏内です。

ティベリーナ島は、その歴史的な背景と文化的な価値から、ローマを訪れる人々にとって見逃せないスポットの一つです。古代から現代に至るまで、島の変遷を辿りながら、歴史と伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

関連項目として、以下の情報も参照ください。

島ティベリーナの3次元再構成 - www.italyrome.info
テヴェレ川

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