ティム・コリンズ (野球)

ティモシー・コリンズ：小柄な体躯から繰り出す剛球で魅せた左腕

ティモシー・"ティム"・コリンズ（Timothy "Tim" Collins, 1989年8月21日 - ）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウースター出身の元プロ野球選手。左投左打の投手として、MLBの舞台で活躍しました。

公称身長は5フィート7インチ（約170.2cm）ですが、実際には5フィート5インチ（約165.1cm）程度だったとも言われています。2012年にはMLBで最も背が低い投手として知られていました。

プロ入りまでの道のり

ウースター・テクニカル高等学校時代には、1試合平均16個の奪三振を記録し、地区大会決勝ではノーヒットノーランも達成。しかし、その小柄な体格がネックとなり、2007年のMLBドラフトではどの球団からも指名されませんでした。

NCAAディビジョンⅠの大学からの声も掛からず、コミュニティカレッジ・オブ・ロードアイランドへの進学が決まります。しかし、同年夏、トロント・ブルージェイズのGM、J・P・リッチアーディが他の選手の視察に訪れた試合で、コリンズは4イニングを投げ、打者12人全員を三振に打ち取るという圧巻の投球を披露。この活躍がリッチアーディの目に留まり、アマチュア・フリーエージェントとしてプロ入りを果たしました。契約金は僅か1万ドルでした。

プロ入り後は、リリーフ投手としてキャリアを歩むことになります。

ブルージェイズ傘下時代

2008年はA級ランシング・ラグナッツで39試合に登板し、防御率1.58を記録。2009年にはA+級ダニーデン・ブルージェイズで40試合に登板し、防御率2.37という成績を残し、シーズン終盤には19歳でAA級に昇格しました。2010年はAA級ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツで防御率2.51、奪三振率は驚異の15.28を記録しました。

ブレーブス、ロイヤルズ時代

2010年7月には、トレードでアトランタ・ブレーブスへ移籍。その後、再びトレードでカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍しました。ロイヤルズ移籍後はAAA級オマハ・ロイヤルズで15試合に登板し、防御率1.33という好成績を残します。

2011年には開幕ロースター入りを果たし、開幕戦でメジャーデビュー。貴重な左の中継ぎとしてフル回転し、ルーキーながら68試合に登板しました。2012年も72試合に登板し、前年よりも四球率が低下、奪三振率は12を超えるなど、着実に成長を遂げました。

WBCアメリカ代表選出

2013年には、第3回WBCのアメリカ合衆国代表に選出。シーズンでは66試合に登板し、3勝6敗、防御率3.54、52奪三振を記録しました。

故障との闘い、そして現役引退

2014年以降は、故障に苦しむシーズンが続きます。トミー・ジョン手術を受けるなど、度重なる怪我に悩まされ、2016年以降はメジャーでの登板機会を得られませんでした。

その後、ワシントン・ナショナルズ、シカゴ・カブス、シンシナティ・レッズ、コロラド・ロッキーズと渡り歩きましたが、メジャー復帰は叶わず、2020年オフに現役を引退しました。

引退後

2024年からは、フィラデルフィア・フィリーズ傘下A級クリアウォーター・スレッシャーズの投手コーチに就任。2025年からはフィリーズ傘下A+級ジャージーショア・ブルークロウズの投手コーチに昇格し、次世代の育成に力を注いでいます。

投球スタイル

非常に小柄な体格ながら、変則的なオーバースローから常時92～94mph(約148～151km/h)、最速97mph(約156km/h)のフォーシームと、切れ味鋭いカーブ、パームボールの握りでチェンジアップなどを繰り出し、三振の山を築きました。マイナーでの奪三振率は13.3という高い数値を記録しています。

その投球スタイルから、かつてフィラデルフィア・フィリーズなどでクローザーとして活躍したミッチ・ウィリアムズと比較されることもありました。

選手としての特徴

小柄ながら力強い速球と多彩な変化球を武器にするリリーフ投手
高い奪三振能力
WBCアメリカ代表選出
度重なる故障を乗り越え、現役を続けた不屈の精神

ティモシー・コリンズは、その小柄な体格からは想像もできない力強い投球で、多くのファンに感動を与えました。現役引退後は、コーチとして次世代の育成に貢献しており、今後の活躍が期待されます。

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